「私たちにとってこれは、ローラーのごとく人々、軍、街の運命を粉々に踏みつぶしながら猛進していく独の戦争マシーンに抗った、途方もない人力を描いた映画です。このローラーを止め、押し戻すためにどれほどの努力と犠牲が払われたか。この映画の制作には長い時間がかかっています。何度も撮影場所を変え、当時の多くの資料、フィルム、写真を見直したりしました。空軍博物館のコンサルタントや陸軍のコンサルタントも協力し、何度も論争が繰り返されました。
なぜなら、あの戦争については研究しつくされたと言える状態には程遠いからです。また技術的な観点からも、とても複雑な作業でした。第二次世界大戦時の航空機を再現しなければならなかったからです。映画には多くの空中シーンがあるのに、撮影開始時点では、飛行できる状態の飛行機どころか、復元された航空機さえありませんでした。場合によっては、本物の飛行機を撮影に使いました。たとえば、爆撃シーンでは本物の飛行機を俳優たちの頭上に飛ばしました。飛行機が低空飛行し、周りが全部爆発すれば、俳優の姿も臨場感を増すからです。他の場面では、コンピューター技術に頼らざるをえませんでした。こうした様々な技術の組み合わせは世界のどこにもまだ用いられた例がなく、これを使っているという点で、本作品はロシアで技術的に最も複雑な映画だと思います...」
「まず1つ目。それは、観ている人がまさにその場にいるかような感情移入を呼び起こすことです。この感覚は映画を見終わるまで離れることがありません。2つ目は、今までに繰り返されてきた間違いを避け、映画を可能な限り写実的にしようとしたことです。まぁ、上手くいかなかった箇所もありましたが。
そのため、航空機Yak-1の代わりに後期型のYak-1Bを使用しました。より広い視野範囲を持ち、死角がないという理由からです。この映画には空中戦が多く、さまざまな種類の戦闘シーンがありますが、戦車の走りも、飛行機がどのように飛んで、どう燃えて、落ちていくかなど、すべてが非常に写実的です。
そして3つ目は、説得力のある現実世界の再現です。衣装、飛行スーツ、軍服はすべて1930〜1940年代の技術で再現されました。まず特別な繊維を作り、そこから糸を作り、糸から布を作っていったのです... 女優さんたちも顔にリフトアップをした跡がなく、ふっくらした唇ではなく、塗ったばかりのマニキュアがないようにしました。彼女たちは同時に他の映画にも出演しているので、難しかったのですが。 もちろん、私が判断することではありませんが、時代の息吹を可能な限り忠実に伝えるという目的は完全に果たせたと思っています…」