「激速超絶兵器」
「知ってるか、ロシアは『超絶ミサイル』を盗んだんだ。激速で飛ぶやつだ。オバマ政権時代に盗まれた。ロシアはマル秘の設計図を盗んで、作ったんだ」
一方、具体的にどのミサイルのことを指しているのかは明言しなかった。根拠は不明。トランプ氏は大統領在任中にも同様の発言をし、波紋を呼んでいた。
「激速」で飛ぶミサイルといえば、常識的に考えれば極超音速ミサイルのことを指すとみられる。だが、極超音速ミサイル開発では、米国はロシアや中国に遅れをとっているとされている。
ロシアのドミトリー・ペスコフ大統領報道官は、トランプ氏の発言を受けコメントを出した。
「我々には世界に例をみない自前の素晴らしいミサイルがある。しかも1種類だけではない」
ロシアには盗む動機がない
露著名軍事専門家のアレクセイ・レオンコフ氏は、スプートニクに対し、ロシアがミサイル開発のために米国の設計図を盗むのにはメリットがないと説明する。
「トランプは設計図が盗まれたと言っているが、待ってくれ。それを作った技術者やチームはどこに行ったんだ?設計図はコピーなしの1枚だけということはないだろう。なら、なぜ米国にはそのミサイルがないんだ。問題は設計図ではなくて、技術だ。ロシアはソ連時代から、この分野で常に最先端を走ってきた」
レオンコフ氏によると、ロシアでは極超音速ミサイルの開発がソ連時代から行われており、2004年に初の試験発射を行った。その後、2016年ごろまでに開発が完了。2017年末に配備されたキンジャールをはじめ、これまでにロシアは3種類の極超音速ミサイルを完成させている。
一方、米国も開発を進めており、今年1月には実験成功を発表しているが、量産には至っていない。米政府は多額の予算を投じているものの、実戦配備は2年連続で延期となっている。
ただの思いつき?
また、トランプ氏の発言に冷ややかな反応をみせる専門家もいる。政治学者のイワン・コノワロフ氏は、今回の発言は選挙を前にした妄言と指摘する。
「トランプ氏の発言には笑うほかない。そもそも、この人は突拍子もない妄言をよく言う。選挙前のイメージアップのためというのは明らかだ。ただ単に演説中に思いついて、とりあえず言っておこうとでも思ったのだろう」
関連ニュース