これは単なる着物の展覧会に終わらない。ここでは19世紀末から20世紀初頭の日本人男性の価値観、嗜好、趣味の世界観に浸ることができる。それは、日本文学や絵画に表現された、実在の、そして架空のヒーローたちとの出会いでもある。
この展覧会では、日本人男性の襦袢や羽織、男性の活躍を描いた女性の着物など、約15点が展示されている。 バキナ氏のコレクションは、主に大正時代の着物を中心に、帯や小物を除いても全部で200点以上に及ぶ。
バキナ氏は、この特別な時代の魅力を次のように説明している。
「大正時代ほど、日本の着物が美しく、豊かに表現されていた時代は後にも先にもありません。この時代は長くは続きませんでしたが、日本の民族衣装の歴史に鮮烈な痕跡を残しました。構図的には完璧ではなかったかもしれませんが、驚くほど率直で、創造活動の真の自由でした。」
「着物−男の世界」展
© 写真 : Alexei Shanin
本展の学芸員である文化人類学者タチアナ・ナウモワ氏はスプートニクに対し、こう語っている。
「着物を何千着と買い漁ったところで、それに芸術的な価値があるという保証はありません。この展覧会で紹介される着物は入念に選び抜かれたものばかり。文化、歴史、芸術観点から見て価値がある、つまり博物館的に価値のあるものなのです」
「着物−男の世界」展
© 写真 : Alexei Shanin