「これは、EU諸国がウクライナへの軍事支援を開始した際、一部のEU諸国の生産基盤が本格的な軍事作戦を行うには不十分であることが判明したためだ。言い方を変えれば、EUの軍産複合体は、他国への支援はおろか、自国の軍隊のニーズさえ満たすことができない。そこで、EUと武器や弾薬の供給契約を結べるようなパートナーを海外で探すことになった。日本と韓国はEUから遠く離れているが、大きな経済的潜在能力を持ち、西側社会の一員でもある。数十億ドル規模の契約になる可能性を考えれば、韓国はもとより日本からも前向きな反応が期待できる。
もちろん、両国とも自国の国益を優先するだろうが、このような大きな取引がかかっているのであれば、両国とも西側諸国との連帯を示しながら、利益を得るチャンスを逃がすことはしないだろう。おそらく、こうした協定の結果、日韓両国はEUの注文に応じるだけでなく、西側諸国の新しい技術開発の一部を武器生産や自国のために使用することが許され、自国の防衛力を強化することになる。そして、これがアジア太平洋地域の安定を損なうかといえば、まず第一に、この地域には安定がなくなって久しい。 第二に、こうした協定の準備と実施には1年以上かかり、その時までに世界の地政学的状況がどう変化しているかは誰にもわからない」
「日本は防衛力を増強しているが、防衛装備品輸出の経験はほとんどなく、世界市場で実績もない。一方、韓国は現代型戦車の最大生産国のひとつだ。だが、韓国はウクライナへの武器や弾薬の供給には消極的だ、だからEUが積極的に進めているこの協定が、そうした供給を実現するための抜け道となる可能性がある。つまり、この協定に基づく韓国の武器は、協力・相互支援・経験交流の枠内で欧州に渡り、EUがその裁量で武器を取り扱うことになる。 私は、韓国は間違いなくこの協定に賛成すると思う。
おそらく日本も。これは『正常な国』になるという日本のコンテキストに合致する上に、日本当局では現在、あからさまな反ロシア感情が支配的だからだ。それと、こうしたEUの提案は、日本と韓国にとって想定内であった可能性も否めない。このEUの決定は、横のつながりで長い間練られてきたものだと思う。それはアジアに位置する両国にとっては利益になるビジネス提案のはずだ。異なる国家間の軍事技術協力は、もはや異常なものではなく、不安定要因ではない、だからこれがアジア太平洋地域の情勢に影響を与える可能性は低い。ただレトリック上は、中国と北朝鮮に不満を引き起こすかもしれないが」