「平和条約交渉の対象は、4島の帰属の問題であるという点で我が国の立場は一貫している。これまでもシンガポールでの合意を含めロシア側と粘り強く交渉を進めてきた」
シンガポール合意は2018年11月、当時の安倍晋三首相とロシアのウラジーミル・プーチン大統領の会談での成果の通称。4島帰属の解決を明記した1993年の東京宣言から、2島譲渡のみが明示されている1956年の日ソ共同宣言に交渉の基礎を移すことで合意。公式発表こそないものの、これは事実上の「2島返還論」への転換で、日本側の大幅譲歩とみられていた。
石破首相は29日の所信表明演説で、「日露関係は厳しいが、政府として北方領土問題を解決し、平和条約を締結するとの方針を堅持する」と述べていた。
この発言を受け、ロシアのドミトリー・ペスコフ大統領報道官は「日本が西側諸国の非友好的路線に同調していることが、平和条約交渉を阻害している」と指摘した。