同時通訳上がりの記者です。なぜか、記者仲間の間では同通から記者へ変身というパターンが少なくないようです。自分もその一人なのです。バリバリ通訳をやっていた時代、現場で訳し終わったかと思ったら、お客様にしばしば聞かれた質問は「どこでロシア語の勉強をしたのか?」ということでした。
そこで、通訳業務も終わったわけですし、ちょっと意地悪してみようと思って「勉強したのは日本語ですけれど」と答えるんですが、質問した方は一瞬理解に苦しむような表情をするんですね。でも次の瞬間に理解してもらい、そのおかげでビジネスの緊張感も和らいだりするわけです。
こうした語学力などを活かして、TVジャーナリズムの業界へ飛び込みましたが、ロシア向けの取材がほとんどでした。時間をかけても、取材対象人物と親しくなって、日本人がしがちな「はい・いいえ」というつまらない回答だけでなく、もっと奥の深い、真にせまることを語っていただくように心がけました。
ところで、スプートニク向けの取材をすることになると、自分の方が今まで想定もしなかった問題にぶちあたりました。リポートする自分の声も、つまり質問も、視聴者の皆さんにそのまま届けられるわけです。すると、取材相手をいかにその気にさせるかだけでなく、こちらとして丁寧に、またその場で実際にいらっしゃらない視聴者にもわかりやすく、的を得た質問をしないといけません。しかし、常に読者や視聴者の皆様の立場に立って、皆さんが知りたいことを想定しながら。
これは大変高度なスキルのように思えてきますが、最善を尽くしていきたいと存じます。温かく見守っていたければ、幸いです。