「辺野古基金」は、宜野湾にある米軍普天間基地の辺野古への移設に反対する運動を行うことを目的に日本全国から寄付を募るために、沖縄県議会の与党会派や経済関係者たちが中心となって約1か月前に設立された。宜野湾も辺野古も沖縄県にある。寄付金の振込先として、日本全国に支店を持つみずほ銀行に口座が開設された。NHKの情報によると、4月に創設されてから5月7日までの時点で5100件余り、金額にしておよそ1億4000万円の寄付が寄せられた。寄付金の一部は、メディアで米軍基地の撤去を求める沖縄県民の意見や論拠を伝えるために活用されるという。
些細なことが重大な結果につながることがある。安倍首相とオバマ大統領の共同声明では、普天間基地の5年以内の運用停止については言及されず、オバマ大統領は、沖縄に駐留する海兵隊のグアム移転を進めることを再確認した。これは沖縄にある基地の重要性が低くなることを意味しているのではない。その反対に、沖縄の基地は米国にとって依然として非常に重要だ。その他にもアジア地域における活動活発化の視点からみた場合、辺野古への移転は米国にとって必要不可欠なものだ。軍事専門家で、ロシア科学アカデミー極東研究所の研究員であもるアナトーリー・クリメンコ氏は、このような見解を表し、次のように語っている。
「米国はまず自分たちの利益を実現しているように思われる。その利益とは、同地域の国々への自国の影響力を確保することにある。米国はいつもと同じく複合的な手段で影響力を確保している。そのトップにあるのが外交だ。少なくとも米国は自らそのように解釈している。外交政策をサポートするのは海軍だ。中国の役割が高まっていることを受け、北東アジアは今、米国にとって特に重要な地域となっており、沖縄から基地を撤去する見通しは極めて不明瞭だ。」
沖縄の米軍基地をめぐる沖縄の人々と日本政府の対立は、悪化の一途をたどるように思われる。宮崎駿監督のような有名な人物がこの運動に参加することで、対立は激しさを増すだろう。宮崎監督が政府を厳しく批判するのは今回が初めてではない。しかし、国内外で高く評価され、知名度の高い宮崎監督の権威でさえも、日米軍事同盟の基盤を揺るがすことは、恐らくできないだろう。