先に同様の提案が日本に対してインドからなされている。インドの入札競争で、日本はフランスのDCNS社、ドイツのHDW社、スペインのNavantia社、ロシアの「ロスオボロンエクスポルト」社と争うことになる。インドの請願が東京でもまた受け入れられる見込みは大きい。日本はインドを、豪州と同様、潜在的な中国抑止同盟として見ている。日本がインドへの「そうりゅう」潜水艦供給をめぐる入札に参加するとしたら、それはインドの武器市場をめぐるプロセスの、第2幕となる。第1幕は、昨年の、インドに新明和工業の航空機US-2を12機供給する、という2国間合意である。これら航空機は、公式的には捜索・救助活動向けだが、インド海軍はより広範な課題にこれを用いることができる。来年初めにもそのインドにおけるライセンス生産に関する合意が結ばれる見込みである。
周知のとおり、日本は戦後70年間、大戦への反省に由来する自制から、武器市場で一人前のプレイヤーとしては機能しなかった。しかし時代は移り、いま日本は、世界でより活発な軍事的役割を担おうとしている。極東研究所日本研究室のワレリイ・キスタノフ代表は次のように語る。
「日本の平和憲法は軍事力を外部に投射することを禁じている。外国への武器の販売もそれで禁止されている。日本政府は1960年代、外国に武器を売らないことを自らの義務とした。しかし2012年、すべてが変わった。安倍晋三氏が首相になり、日本を全き軍事大国に変身させ、武器禁輸を撤回した。いま日本は、最初の一歩として、潜水艦関連の軍事技術を売り出そうとしている。豪州は、日本の潜水艦は世界最良のもののひとつだと見なしている。豪州はちょうど今、潜水艦隊の一新をはかっている。この意味で、日本と豪州は共通言語を見出したのだ」
戦後初といえば、もうひとつ、先週日本で開かれた武器展MAST Asia 2015がある。日本はホスト役を務めるだけでなく、その積極的な参加者ともなった。史上初めて、世界に自らの武器をデモンストレーションしたのである。日本は自らの武器を外国に販売する意向を持つだけでなく、防衛戦略そのものを根本的に変化させていっているのである。アジア太平洋地域の政治情勢やそれへの影響力をもつために、日本にとって単なる武器貿易の枠をはるかに超える大規模な軍事技術協力の推進という傾向性がはるかに重要な役割を帯びてきているのである。そうした協定が既に英国、豪州、インドと結ばれようとしている。