28日、スイスでFIFA総会が始まった。同総会では29日、会長選挙が行われる予定だ。19年間にわたってFIFAの実権を握るブラッター現会長は、再選の高い可能性を持っていた。しかし27日、警察は米国の要請を受け、FIFAの幹部10人以上を汚職の容疑で逮捕した。そのうちの数人は、米国へ引き渡される可能性がある。
米国のロレッタ・リンチ司法長官は、19年間でFIFAが受け取った賄賂の総額は1億ドルを超えると発表した。リンチ氏は、「我々の行動は、FIFA会長選に合わせたものではない」と指摘したが、多くの人が、米国の主な目的は、スポーツ界における汚職対策ではなく、2018年にロシアでサッカーW杯を開催する案を支持し、米政府から独立した政策をとるFIFA指導部の更迭にあると考えている。
ロシアのプーチン大統領は、この状況について、「これは明らかにブラッター氏がFIFAの会長に再び選ばれることを阻止するための試みである。これは国際機関の機能原理に対する極めて重大な違反だ」と指摘した。またプーチン大統領は、FIFA幹部の米国への引き渡しについて、「『逮捕された』幹部たちは、米国人ではない。もし何らかの出来事が起こり、それが米国領内ではない場所で発生した場合、米国はそれに対していかなる関係も持っていない。これは、他の国へ自国の管轄権を拡大しようとする露骨な試みである」と述べた。リア・ノーヴォスチ通信が伝えた。
米国はこのような形で、世界の警察だけでなく、世界の裁判官になるという願望を示している。ブラッター会長へは、あらゆる方面から圧力がかけられている。フランスのファビウス外相は、FIFA会長選を延期するべきだとの見解を表した。「マクドナルド」や「VISA」などのFIFAのスポンサーたちは、「深刻な懸念」を表明した。イングランドサッカー協会のグレッグ・ダイク会長は、FIFAの会長に辞任を求めた。欧州サッカー連盟も、会長選の延期を要求した。
アジアのスポーツ選手やスポーツ記者たちは、次のような見解を表している。日本空手松涛連盟の副会長で、ロシア・カラテ同盟の名誉会長を務める田中長剛(タケノリ)氏は、大規模なスポーツ大会を運営する際に汚職があることを認めている。また田中氏は、ラジオ「スプートニク」からのインタビューで、この件では、ウクライナ情勢のように、ロシアに対して問題を作り出そうとする試みがあると指摘している。
ベトナムの著名なスポーツ記者、ファン・ンゴック・バオ氏は、ラジオ「スプートニク」のインタビューで、サッカー界におけるブラッター会長の影響力は非常に大きいため、同氏は間違いなく選挙で勝つだろうと述べた。しかしバオ氏は、いずれにせよFIFAには改革が必要だと指摘している。なぜならFIFAは世界中で国連よりも大きな影響力を持っており、FIFAの「掃除」は、サッカーにとって利益となり、それは大勢のサッカーファンたちにとっての利益でもあるからだ。
なおバオ氏は、2018年と2022年のサッカーW杯の開催国が、合法的かつ合理的に選ばれたことを確信している。なぜなら、これらの国々の政治および経済状況は安定しており、大勢のファンを招いて、しかるべきレベルでこのような大規模な大会を運営する力を持っているからだ。