ピュー研究所が想定した仮想情況では、NATO諸国に攻撃を仕掛けるのはどこかのアラブ諸国ではなく、なんとロシア。NATO諸国にとってはロシアは攻撃的な態度をしめしており、隣国に攻撃を仕掛けかねないのだそうだ。プーチン大統領自身、先にイタリアのイル・コリエーレ・デラ・セラ紙からのインタビューに答えたなかで、ロシアがNATO諸国に攻撃しうると考えるのは不健全な人間以外ないと断言し、ロシアのとる行動全体はロシアに向けられた脅威への返答であり、しかもこの返答は限定された規模でのものと明言している。
回答者の中で最も好戦的なのは米国人で、回答者の約56%が軍事手段でNATO加盟国とロシアとの「シリアスな軍事紛争」を解決する構えを示している。米国だけではなく、カナダ、英国、ポーランド人の大半も同じく軍事手段に訴えると答えた。
これに対し、独仏伊の回答者の大半はNATO加盟国の誰かが攻撃を受けても軍事力の行使を是とはしていない。特に独は、こうしたシナリオに回答者の58%が反対を示した。
ピュー研究所は同じ世論調査のなかで、NATOのどの加盟国の市民がウクライナへの武器供与を支持しているかを調べた。もっとも支持が多かったのがポーランドの50%、次が米国の46%、反対に最も不支持が多かったの独で、武器供与に賛成したのはわずか19%だった。
『民族共通の理論』の著者として有名な仏のヘンリ・テンプル教授(法律家、政治家)は、ラジオ「スプートニク」からのインタビューに答えた中で、「NATO諸国の市民の大半はロシアに対する軍事行動には一切加わりたくないと考えている。これはロジカルかつ最もなことだ」とコメントした。
テンプル教授は「反露キャンペーンの強化はNATOの組織そのものの正当化の手段となっており、西欧諸国の米国依存を強化する手段と言える。こうした政策の破滅的結末を我々は、アフガニスタン、イラク、旧ユーゴスラビアで目にしてきたし、今ウクライナ、イエメン、シリアでも目にしている」と語っている。