日本側の参加者は、モスクワ・ジャパンクラブ理事長の目黒祐志氏(三井物産モスクワ社長)、石黒憲彦・経済産業審議官、佐々木基・国土交通審議官、ロシアNIS貿易会(ROTOBO)副会長の衣斐正宏氏などだ。これら面々は、ロシアの関心が日本を含む東の隣国に移っていることを指摘し、日本の実業界はロシア市場への進出とロシアでの活動に極めて高い関心を寄せている、と表明した。そのためには、今こそ工業生産のための人員を養成し、ビザを撤廃し、労働市場へのアクセス制限を緩和することが必要だ。これらの問題が解決されたなら、両国の経済関係は全く新たなレベルに達するだろう。以上が日本側の発言の要旨である。
ロシア経済発展次官スタニスラフ・ヴォスクレセンスキイ氏は語る。「投資が向こうからやってくるのを、座して待っているがものはない。こちらから迎えに行かなければ」。
「ロシアは従来どおり魅力的な投資先である。露日協力の中でとりわけ展望のある分野を挙げるなら、それは農業であり、ロジスティクス・輸送であり、ITであり、医学・薬学である。エネルギーや工業といった伝統的分野については、ここに挙げるまでもない。なぜならその方面の協力は既に軌道に乗っており、日本側も企業活動や投資のための条件をよく分かっているからである。ともかく我々は、ロシアにおけるビジネス環境を改善させるために、日々努めている。世界銀行の「ドゥーイング・ビジネス」ランキングにおける順位を、ロシアは4年間で二倍に上げている。124位だったのが、今は62位だ。しかしこれに飽き足らず、我々は投資や企業活動に対する障壁の排除を続け、さらなる改善を目指している。しかし時間は待ってくれない。そこで我々は、経済発展省内に、アジア太平洋諸国の投資のための「オンブズマン」オフィスを構えた。ロシアの法制や行政手続きなどに不案内な人のための機関だ。官僚主義的問題とぶつかった投資家たちのために、地方および連邦国務院が機動的に問題解決の補助に当たる」。
露日双方の参加者が、露日経済協力には膨大なポテンシャルがある、との点で意見を一つにしている。そのポテンシャルが開花するかどうかは、多く、ロシア連邦の各構成体にかかっている。各構成体もそれを重々分かっているようで、日本を含む諸国の投資を呼び込むために、非常な意欲を示している。