5月14日、日本の内閣は第2次大戦終戦以来初めて、自衛隊に海外での軍事行動への参加を許す法案を採択した。日本の自衛隊の海外派遣には一連の条件の遵守が必要とされており、日本が近い関係にある国が軍事侵攻を受け、紛争が日本国自体の脅威となった場合に可能とされている。安倍首相は自衛隊の全権拡大について、日本の周囲の地域安全保障状況が不安定化した際、日本国民を守るため必要不可欠と説明し、大筋においては日本は従来どおり、あらゆる紛争の平和的手段での解決に賛同すると語っている。
この状況について高等経済学院のドミトリー・ストレリツォフ教授は次のようにコメントしている。
「これは中国のファクター、北朝鮮のファクターに関連していることは間違いない。だが、地域的な脅威だけに結びつけるのは正しいとはいえないだろう。日本の防衛ドクトリンは全体的にその性格を変えた。2010年に策定された速攻防衛コンセプトとは、一定の条件から発生する原則に基づき、あらゆる軍事状況により柔軟なアプローチを想定したものだ。これは変化する状況にあわせ、迅速かつ効果の高い反応を行なう可能性のことであり、新たな法案はまさにこれに関連している。その目的は少ない経費でより高い効果を保障し、変化する脅威に対応することにある。」
前代未聞の会期延長に日本の各マスコミは注視した。 朝日新聞社が20、21両日に行った全国世論調査(電話)によると、安倍内閣の支持率は39%で、前回(5月16、17日調査)の45%から下落した。安全保障関連法案への賛否は、「賛成」29%に対し、「反対」は53%と過半数を占めた。自民党と新公明党が衆参両院で過半数を占めている以上、新法案が国会で採択されるのは火を見るよりも明らか。それでも大荒れの審議になることは予想に難くない。
マスコミはさらに、国会会期延長で、8月に予定されていた安倍首相の中央アジア諸国歴訪は延長されかねないと予測している。議会での審議に首相の参加が不可欠であることは明らかであるものの、このために中央アジア歴訪の最中、8月24-30日の間にカザフスタンの首都アスタナでの世界柔道選手権で可能と見られていたプーチン大統領とのコンタクトの機会は失われる結果となってしまう。