もしギリシャ政府と債権団三者が、相互に受け入れ可能な合意に達しなければ、この国はデフォルトに陥る可能性がある。一方7月5日ギリシャでは、ツィプラス首相の提唱で国民投票が実施される。その中で国民は、緊縮財政政策を継続すべきだとの債権団の提案を受け入れるかどうか、直接意志表示する。資金を拠出するための条件の中には、年金需給年齢を67歳まで引き上げること、物質的に恵まれない年金生活者への追加支払いの削減、ギリシャの島々のための消費税に関する優遇措置の撤廃、ビジネスに対する税金の引き上げなどが含まれている。
ツィプラス首相は、国民に対し投票では、国際債権団の提案を退けるよう訴えた。彼の意見によれば、もし有権者の大多数が、緊縮財政措置に反対すれば、それはアテネ政府がEUやIMFそして欧州中央銀行との交渉で、相手側の歩み寄りを期待できるとの事だ。一方欧州委員会のユンケル委員長は国民投票を前にコメントし、、ギリシャ市民に対し「自殺行為はせず」ギリシャ支援継続に関する債権団の条件に賛成するよう求めた。
緊迫するギリシャ情勢を、現地の民間ジャーナナリストヴァッソ・ポリフロノプロ(Vasso Polychronopoulou)氏に聞いた―
「我々は、債権団三者の条件に賛成することはできない、我々の欧州のパートナー達は、我々に消費税を23%に引き上げるよう求めている。我々の競争相手の税率は10%なのにである。債権団三者は、我々が経済的に自滅するのを欲している。おまけに今は、観光シーズン真っ盛りなのだ。観光業は、百万もの失業者を抱えたギリシャ国民にとって仕事にありつける唯一の分野なのだ。これは、政治ゲームである。彼らが我々の政府を好きではないことは良く分かる。彼らは、どこか他の国の政府であれば、こんな風には行動しなかったろう。しかし多くのギリシャ人は、こんな政府であっても国民の利益を強く主唱していると捉えている。前の政府でさえ、それを試みなかった。我々は、EUから抜けたくはない、しかし平等でない欧州も欲してはいない。もし最も強力なパートナー達が、弱い国々の意見より大きな発言力を持つのであれば、それはもう連合体ではない。」
国民投票は、大部分のギリシャ人にとって、ジレンマだ。誰も、自分を締め付けるベルトを、もっときつくしたいとは望んではいない。同時に、デフォルトやEU脱退を、それに劣らず憂慮している。現在国内では、銀行の休業が宣言され、資金の移動に対するコントロールが導入された。国際オンライン決済も禁止された。こうした事はすべて、資本の流出を止めるためのものだ。ATMで引き出せる金額は、一日60ユーロと決められた。ある人々は、もう単に引き出すものはなにもない。失うものは何もないのだ。ツィプラス首相自身も同じだ。彼はすでに、もし国民が債権団の条件に賛成投票するならば、彼もその内閣も、退任、総辞職することを示唆している。