富山県観光・地域観光局国際課でロシア担当として活躍する裏田裕史(うらた・ゆうじ)さんも、ロシア派遣職員の一人だ。裏田さんは2012年4月から2013年3月までウラジオストクに滞在し、極東連邦大学にてロシア語を学びながら、沿海地方政府の環境保全部門と国際協力部門で研修を受けた。裏田さんが研修を受けていたときに親切にしてくれたのは、富山県での研修経験のあるロシア人職員だった。この職員は今、業務上はもちろんのこと、自分の担当外のことも協力してくれているという。裏田さんは、ロシアとの交流では、信頼できるパートナーを見つけることが最も大事だと言われるが、公務員の世界でも同じことが言えると感じている。日本と違ってロシアでは公務員の異動の頻度が少ないため、より深く関係を築いていけるのだという。
裏田さんは次のように語っている。「外国の自治体政府職員の仕事というのは、滅多に肌で感じることができません。どういう人がいて、どういう活動をしているのが具体的に知ることは、交流業務を考える上で役に立っています。言うまでもなく人と人とのつながりは、国際交流を進める上で重要な要素ですが、ロシアでは特にそうなのです。アクセスする相手を間違えると、せっかくのプロジェクトも、前に進まない場合がありますから、パートナーの顔がわかることはとても大事なのです。」
今年の春にも富山からウラジオストクに職員が旅立って行った。歴代の富山県からの派遣職員が学んできた極東連邦大学は、APECが開催された地として有名であり、昨年、この大学の新キャンパスには、民間団体「富山ウラジオストク会」と富山県により桜の苗木150本が植樹された。両都市の友好のシンボルが育つウラジオストクで、ロシアと深く人間関係を築ける行政マンがまた一人誕生することを期待したい。
徳山あすか