「中国にとってEUは非常に重要だ。EUは中国の最大のパートナーなのだ。中国はギリシャを理由にEUとの関係を悪化させはしない」
中国・EU・ギリシャというフォーマットでの交渉の、トレンドや色調について、詳しい情報はない。大方、中国にはギリシャが必要であり、ということは、中国はギリシャをEUと一対一で付き合わせることはしない。国民投票の結果に対し、EUがギリシャにとってドラマチックかつ厳しく反応することがないように、である。そう語るのは、政治学者のアレクサンドル・ラーリン氏だ。
ギリシャは中国にとって、今後の欧州進出のための重要な足がかりである。ピレイ港において中国はいくつかの大型埠頭を持っている。中国商品がそれを通じて欧州に入り込んでいる。中国の李克強首相が既に欧州諸国リーダーらと合意をしていることだが、中国はこの港に、中国がバルカンおよびドナウ川に建設するインフラ、たとえば道路、鉄道、ドナウ川沿いの船舶ルートなどのインフラを結び付ける意向である。
このプロジェクトにおいてギリシャにかけられている賭け金は膨大だ。一方でそこからまた、逸失利益や既に投下されている資本の高いリスクということもくるのである。ギリシャ危機が新たなピークを迎えるやいなや、それについて専門家たちが話し始めた。そして、ギリシャにおいて中国が、イラクやリビア、スーダン、エジプトにおける中国の企業の損失に匹敵するような商業的損失を出すのではないか、との推測も生まれた。
ヤコヴ・ベルゲル氏もアレクサンドル・ラーリン氏も、中国がそのようなシナリオをたどる可能性を否定している。専門家アレクサンドル・サリツキイ氏は、中国はギリシャの危機を欧州進出の新たなききっかけとすることが出来るかも知れない、と語っている。
「中国はいずれにせよ、ギリシャ経済の復興と危機からの脱出に一枚噛むだろう。中国はいま、投資を行える良好な状態にある。それに、国内産業の現状もあって、中国資本は外部へと突き動かされている。中国はむろん、外国進出の新たな方面を模索している。ギリシャと中国の関係において活発な成長を期待できる部門、たとえばツーリズムなどは、今後も発展していくだろうと予想できる。もしかしたら、中国からギリシャへ、中国の加工工場の一部が移転される可能性もある。ギリシャがロシアから欧州へのエネルギー資源の輸送における重要な拠点となることにも、中国は何らかの仕方で参加するかもしれない。これらは全て興味深い方向性だ。中国は何らかの仕方でこれに参加するだろう」
さしあたり世界は、中国がギリシャにどれだけの金額の支援をするかを注視している。これはギリシャや欧州だけでなく、世界全体にとってホットなテーマなのだ。