モスクワ国際関係大学国際調査研究所の上級専門家、アンドレイ・イヴァノフ氏は、ウファでのダブルサミットが示したものはBRICSと上海協力機構の「クラブ」メンバーらは言葉を実行に移す段階に移行していることを内外に示したとの見方を示し、次のように語っている。
「ウファでの集まりで最も主要な出来事となったのは、インドとパキスタンという核大国で目覚ましい経済成長を遂げつつあり、数十億人もの人口を抱える2国を正式なメンバーとして加えることで図られた上海協力機構の拡大だ。
2国を上海協力機構のプロジェクトに加えることで、組織の経済ポテンシャルや、中国が提唱するシルクロード・プロジェクトのようなユーラシア圏の大規模な経済プロジェクトを実現する可能性は急激に高まる。
そういえばウファではインド、パキスタンの首脳らはすでに目と目を合わせて話し合っていた。このことを両国関係の改善に端緒が開けた証拠だと信じたいものだ。インド、パキスタン、中国間のこれからの相互信頼強化に刺激となるのは上海協力機構内で実施されるテロ対策、分離主義、急進主義対策における協力だ。こうした問題はこれらの国にとって深刻な脅威となっている。」
イヴァノフ氏は、BRICSや上海協力機構の枠内でメンバーらが協力の価値を認識をうながしているのは米国の攻撃的な政策もそうではないかとの見方を示している。米国の政策は自分の覇権を維持するためのものであり、国家転覆や「カラー革命」の前に立ち止まることはない。この目的に貢献しているのはEUとロシア間の関係の危機もそうだ。米国によって煽動されたこの危機は、ウクライナの内政にあたかもロシアが干渉したという前提のもとに出来上がってしまっている。ところがBRICSと上海協力機構が強化され、この2つのストラクチャーが経済、政治、また安全保障分野で実践的な協力を行うレベルに達することで、これらの加盟国の米国の圧力の呪縛からより自由になることができるのだ。