しかし会合の本当の目的は、現地の活動家達の見方によれば、かくも危険な事件が起きる可能性を持つ米軍駐留に関する合意に修正を加える事だろう。例えば、合意の第9条によれば、米国軍人は、税関検査を通さずに、郵便物を送ったり受け取ったりできる。そうした方法で米国は、潜在的に危険な物質を韓国に送る事が出来るため、現地当局も又地元住民も、不安を感じているのだ。 これに関連して、今回の会合には初めて、地元キョンギド(京畿道)の行政の中心地オサン(烏山)の代表も参加する。代表は会合で、事件に関するあらゆる情報の開示、米軍基地に送られてくるものすべての透明性を保障するための合意内容の変更を強く主張するものとみられる。
また、問題は、あれやこれやの危険物質を持ちこむことに何の予告もなかった事ばかりではない。多くの韓国人達は、自国領内で、細菌兵器を使用した実験がなされていたという事実自体に、拒絶反応を示している。会合の前日開かれた記者会見で、キョサンナムドの社会団体の代表らは、送付された炭疽菌も関係しているジュピター(JUPITR — Joint United States Forces Portal and Integrated Threat Recognition)プログラムに対する詳しい調査を実施する必要性を訴えた。また彼らは、オバマ大統領に、謝罪と責任者全員の処罰を強く求めた。
米国側の説明によれば、炭疽菌のサンプルは、北朝鮮が生物学兵器を使用した場合を想定した演習で使うはずだったとの事だ。 しかし、こうした演習実施の事実自体、韓国民には広く伝わっておらず、その事は現在MERSコロナウイルスの急激な蔓延が問題となっている韓国では、とりわけ大きな憤りを呼び起こしている。おまけに、人を死に至らしめる危険な細菌兵器を使った演習実施が必要だとする根拠は、事件について報道された後、明らかにされた。また「軍事目的で炭疽菌を生産している」ピョンヤンの生物学研究所の「写真を分析し」そうした結論が出たとの説明は、余りにも説得力がない。
これに対し、朝鮮民主主義人民共和国の国連大使は、朝鮮半島で戦争が起きた場合、自分達に対し生物学兵器を用いる考えが米国にはあるのだと非難した。15日に開かれる合同委員会会合は、韓国では北からの生物学兵器による攻撃の危険性をどのくらい感じているのか、そうしたコンテキストの中で北の「脅威」への米国の対抗策がどう評価されているのかを示す、よい機会となるだろう。