「もしホワイトハウスがイランとの問題に集中しているのであれば、これはロシアの直接的な参加によって得られたものではあるが、軍部はより一層『ロシアの熊』のリターンにより憂慮している。」
「デイリー・ビースト」は米国防総省内で、軍司令部の大規模なローテーションというかなり普通ではないプロセスが進行していることに注意を傾けている。省内で高いポストを狙う候補者の一人ひとりが上院で、米国の国家安全保障における主たる脅威は誰なのかという問いに答えているのだ。オバマ大統領によって統合参謀本部議長に選出されたジョゼフ・ダンフォード氏、統合参謀本部副議長候補のポール・セルヴァ氏、欧州におけるNATO統合軍長のフィリップ・ブリドラフ氏、高官のジェネラルのマーク・マイリー氏など多くのジェネラルは、ロシアが主たる脅威だととらえている。彼らの意見ではこれを殲滅できる唯一の国は米国だ。
米国防総省は2015年度予算で「欧州中央部、東部における連合国およびパートナーらの増えるニーズに迅速に反応するため」として受け取った額は約10億ドル。ところがホワイトハウスはウクライナには一切の軍用機を供与してはならないとしている。「デイリー・ビースト」は、国防総省内の重鎮らでさえも全員が全員、こうした決定の必要性に確信が持てないと指摘している。こうした意見の食い違いが生じる理由は想像に固くない。「デイリー・ビースト」は「ロシアの脅威」を語る人間はそれぞれが昔からソ連との戦争準備を行ってきた米の軍産複合体の出身者だと指摘する。慣れ親しんできた体系を見直すのは難しいし、したくもない。この他、ロシアという「昔からの敵」は、米国人ジェネラルには、たとえば「イスラム国」のような新たな脅威よりも昔から慣れ親しんだ敵対者のほうが慣れており、好都合なのだ。
「デイリー・ビースト」は論説の最後にCNNの行った世論調査を引用しているが、世論調査で米国民が「米国にとっての最大の脅威」と捉えているのはまさに「イスラム国」の戦闘員、イラン、北朝鮮だという結果がでている。米国民の考える脅威リストに「ロシア」が登場するのは、この3項目の次ぎだった。