以下に同誌フロリアン・レッツェル氏の記事の概要を紹介する。
キエフはミンスク合意を形式的にしか遵守していない。それはこれからも変わらないだろう。政府はウクライナを戦争状態にとどめ、ドンバスに特別な地位を付与しないで済むようにしている。
ミンスク合意最大の問題点は、停戦でも捕虜の交換でもなく、ドンバスへの特別な地位の付与である。
周知のように、ウクライナ政府はミンスク合意を迂回し、今後も政治的・経済的・軍事的手段によって「ロシアの侵略」なるものを押しとどめようとしている。その目的は、義勇軍を挑発することにある。
ウクライナ政府も義勇軍も、互いに直接対話を拒否している。また、ドネツクおよびルガンスクは10月に地方選挙を行う計画であるが、これもミンスク合意には違反している。
24日、ベルリンで、ウクライナのポロシェンコ大統領、フランスのオランド大統領、ドイツのメルケル首相の会談が行われる。会談がポロシェンコ大統領のイニシアチブで行われるものであることを、ウクライナ政府は強調している。
ロシアはこの会談に招待されていない。このことについてロシアのラヴロフ外相は、「ベルリン会談はノルマンディーフォーマットではない」と述べている。あわせてラヴロフ外相は、会談が啓発的なものになること、独仏首脳がウクライナにミンスク合意順守を促すことを期待する、と述べた。
ポロシェンコ大統領はベルリンで、独仏首脳に対し、「ロシアの侵略を撃退するために断固たる措置をとるよう」要請するものと見られる。ウクライナ政府の主張によれば、ミンスク合意に違反しているのは義勇軍側である。しかしOSCEの停戦監視団によれば、義勇軍とウクライナ軍、双方の側に違反が認められている。
どうやら乗るべき電車はもう行ってしまったらしい。ウクライナ政府も義勇軍もともに、もはや停戦合意への意欲を失ってしまったようだ。メルケル首相とオランド大統領が「恥辱」を回避するために全力を尽くすよう願う。なにしろ今やミンスク合意は彼らの名前と堅く結びついているのだから。