ロシア首相のクリル訪問、ロシア大統領との対話継続にかける日本の熱意を冷まさず

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ここ数か月、日本はたびたび、プーチン大統領の年内訪日を目指す意向を示している。これは安倍首相が2014年末に自ら公約したことでもある。先日、ロシアのメドヴェージェフ首相がイトゥルプ島を訪問し、空港その他の施設を見学し、若者たちを相手に講演した。日本政府はこれに激しい反応を示した。日本外務省は、メドヴェージェフ首相の行動は「国民感情を傷つける」ものだとし、抗議を申し入れた。

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今回の一件が露日関係にとっての新たな苦悶の種となることはあるか。露日関係は再び凍結してしまうのだろうか。元駐日大使を務めたアレクサンドル・パノフ氏は次のように述べている。

「露日関係はいま、それでなくても凍結されている。もっとも、外交上のコンタクトはもちろん続いている。しかし日本は、現在ロシアに制裁を発動している、西側社会のメンバーである。だから私には、当初から、なぜ安倍氏がプーチン大統領訪日にこだわるのか、理解できなかった。こんな雰囲気の中でロシア大統領が公式訪問し、儀礼的な言葉の交換に終わらず、何らかの具体的な合意が得られるなどと期待するのは、非現実的である。まったく自明のことだ。それなのに、ハイレベル対話に反対する人は誰もいない。プーチン大統領と安倍首相は、国連総会またはG20、あるいはOPEC総会にあわせて、近く会談するかも知れない。つまり、対話は継続される。しかし今の時点で、安倍首相が期待しているように、平和条約について話す、それでいて、西側の制裁という条件のなかで、ロシアとの大規模協力については話さない、というのは、無謀の一言である。個人的な考えでは、露日ともに、実務レベルで訪問を準備していた人たちは、いま、安堵のため息をついていると思う。プーチン大統領訪問について話し合う必要性が、一定期間、先送りされたからだ。訪問のための雰囲気が、より建設的な対話、口先でなく実効的な対話を期待できるようになるまでの、文字通りの先送りである」

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日本はロシアとの政治対話を全面凍結させることはぜひとも避けたかった。そう語るのは日本専門家のドミートリイ・ストレリツォフ氏だ。

「メドヴェージェフ首相の訪問は交渉プロセスおよびプーチン大統領訪問の訪問に終止符を打つようなものでは全くない。日本側が書面による抗議を行っていないことに注意されたい。抗議は口頭で、しかも、そう厳しい口調でなく行われた。今回のことをあまり誇大に受け止めてはならない。双方ともやがてある種の妥協を見つけ、現状打破の道を見つけ、期限を改めてプーチン大統領の訪日を準備するようになると思う。それに、ふつう日本は、プーチン大統領の行動とメドヴェージェフ首相の行動は分けて考える。両者は別もの、ととらえるのである。日本の理解では、メドヴェージェフ首相は必ずしも日本に友好的でない。一方、ロシア大統領は日本への「理解が深い」とされている。これはもちろん主観的な評価である。しかしともかくもそうした評価が存在するのである。今後の露日関係においても、国際イベントにあわせて行われるプーチン大統領と安倍首相の個々人的対話、個人的外交に期待したいところだ。そして、プーチン大統領の訪日準備が継続されることを期待したい」

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たしかに、個人的外交は功を奏し、露日首脳間には良好な関係が築かれている。2012年に安倍氏が首相に返り咲き、プーチン氏が大統領府に帰って来てから、両者のあいだには友好関係が生まれた。安倍首相は平和条約調印に非常に前向きだ。いま日本政府は領土問題をこじらせ、中韓首脳から安倍氏は会談を拒否されている。そんな中ではなおさら、ロシア大統領との対話をある程度継続していくことに活路が求められていたのである。しかし安倍首相はアジア太平洋地域における軍事・政治両面にわたる最重要同盟国である米国の圧力に屈さざるを得なかった。それでも、ロシア大統領の訪問が取りやめられたなら、それは安倍首相にとっては外交的な損失である。折しも中国、北朝鮮、韓国と正常な関係を持てず、日本は孤立しており、その上、目下モスクワと北京が歩み寄りを見せている。一部の専門家によれば、「反日」を基礎に露中が同盟を組むことに、日本政府は戦々恐々としている。

スプートニク社説

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