露日が話し合わねばならないのは領土問題ではなく、国境線の画定

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露日が話し合わねばならないのは領土問題ではなく、国境線の画定 - Sputnik 日本
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日本外務省はロシアのマクシム・ソコロフ交通相のクリル諸島訪問にいらだった反応を示した。だが日本の外交官、政治家らはロシア外務省のイーゴリ・モルグロフ次官が数日前に表した声明の本質を考えて見る必要があるはずだ。

モルグロフ外務次官はクリル問題は「70年前に解決済み」であり、「日本政府とはクリル問題についての交渉は一切存在していない」事を明らかにしている。日本側はあわててこれに憤慨を示したが、有名な東洋学者でモスクワ国際関係大学の教授のドミトリー・ストレリツォフ氏は、この声明には目新たらしいものはなにもないとの見方を示した。ロシアは原則的な立場を変えてはいない。その立場とは、南クリル諸島はクリル諸島の切り離すことのできない一部であり、第2次世界大戦の結果、ソ連に組み込まれたものであり、これについて論議するのは意味がないというものだ。

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ストレリツォフ氏は、モルグロフ外務次官の声明が出されたのは、日本人政治家らが対露関係を口にすると、最初に出てくるのが領土問題であることにロシア側がいらだちを示し始めたことに起因するのではないかとの見方を示し、次のように語っている。

「日本側はプーチン大統領の訪日で平和条約と南クリル問題に焦点を当てようとしている。どうやら安倍氏はこの問題を『刈り取り』、ロシアとの領土問題を解決した首相として歴史に名を残したいと思っているようだ。だが、プーチン大統領の訪日準備に進展はなく、これに責任があるのは日本側だ。日本はプーチン大統領の訪日と、大体において対露関係の拡大を領土論争の解決における進展と固く結びつけているが、露日関係はこの問題だけに限定されるものでは全くない。」

ストレリツォフ氏は、ロシアでは領土論争の交渉は永遠に行われうるものではないと考えられていると語る。それはこの過程でマスコミで展開される討論は関係を一層緊張化させるだけだからだ。このため、問題を解決するか、もしそれが出来ない場合は、問題解決を無期限で後回しにするか、いずれかを選択する潮時となっている。

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ストレリツォフ氏は、モルグロフ外務次官が露日間に領土問題についての対話が存在していないといったのは、ロシアが領土の画定問題、つまり国境の確認についての話し合いを拒んでいるというわけでは全くないと捉えている。それに国境線は1956年のソ日共同宣言 にそってひくことができる。この宣言は平和条約締結後、色丹、歯舞の2島を日本に渡すことを見込んでいた。ロシアはソ連の権利を継承する国としてこの宣言を退けることはしていない。だが、ストレリツォフ氏は、国境線問題を話し合う際にロシアと日本は南クリルないし「北方領土」といった地理学上の概念の言及を避けたほうがいいと指摘する。

これ以外にもストレリツォフ氏は、ロシア外務省の声明は日本人政治家らの一貫性を欠く行動に対する失望の結果、出されたものだとの見方を示している。日本は平和条約および領土論争の解決に邁進すると宣言しておきながら、最高レベルでのコンタクトの実現化には邁進していないからだ。日本側からはプーチン大統領の訪日準備に向けては何も成されていない。プーチン大統領と安倍首相の北京での会談の可能性も、安倍首相は北京での第2次大戦終戦70周年の記念行事に招かれていたにもかかわらず、首相が行かなかったため、ロシア側の期待は裏切られた。 ストレリツォフ氏は、この日本側の一貫性を欠く立場も露日対話を困難にさせている一因であると指摘している。

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