現時点でこうした領域はすでに9つあり、投資家らは収益に対して低い税率でこれを利用できている。しかも最初の収益を手にした後、5年はこれに対する税金が一切免除される。またTORのレジデントには資本課税も免除されるほか、他の税優遇措置も講じられている。この結果、TORのレジデントが負う税負担はおよそ12.2%となる。これにプラスして外国人労働者への労働許可申請義務が免除され、土地も特恵で貸し出される。
中国の企業グループ「シリウス」のタオ・ジャン会長はラジオ「スプートニク」からのインタビューに答えたなかで、極東のプロジェクトがプーチン大統領の支持を得ている以上、かならず成功するはずだと確信を表し、次のように語っている。
「 わが社がアムール州で実現しているプロジェクトのなかにはセメント工場があり、これはすでに稼動している。2つ目のプロジェクトは石油精製工場で、現在プロジェクトの文書を用意しているところだ。このほか、ロシアのTOR運営への参加を計画中だが、これは商売の上でうまみが大きいプロジェクトだ。投資家にとって大事なのは投資した金が収益を上げることだが、TORは我々の目的を達成してくれると思う。
アムール州のプロジェクトを我々諸国の経済的関心の観点から評価した場合、ロシアにはこれは新たな雇用創出であり、税収が上がることで補足的に歳入が増えるし、市民の福祉が向上する。中国にとって主たる利益はエネルギー安全保障のレベルが上がることになる。国境を越えた協力はそれが双方にとって互恵的であるとき、将来性を有す。このため我々のプロジェクトは民間企業によっても実現化されており、双方の国家の支持も得ている。」
タオ・ジャン会長によれば、アムール州の石油精製工場の建設は3段階に分けて行われ、2023年の生産能力全開を目指す。この時期までに工場はガソリン、ディーゼル燃料、液化ガス、石油コークスの年間生産量550万トンを達成する予定だ。生産用プラントはすべて中国国内で購入される。
「シリウス」はサハ(ヤクート)共和国やイルクーツク州の油田でも石油精製を行っていく。現在、中国の投資家らはサハ共和国の3箇所の油田を借り上げ、ボーリング探査作業を行っているが、このほかにも採掘会社からの原油買い上げを計画している。アムール石油精製工場の生産物の大部分は中国への輸出に回される予定。このために露中国境を流れるアムール川の川底を通り、黒竜江省のヘイヘ市までパイプラインの建設が計画されているが、そのためには両国の政府間合意が必要となる。