米企業、死活的に重要な薬品を55倍値上げ

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米国の製薬会社Turing PharmaceuticalsはDaraprimという薬の特許を取得し、その価格を55倍に引き上げた。これまで60年間普通に売られていた薬が、突如13.5ドルから750ドルに高騰した。

薬はたとえば、トキソプラズマ症という、エイズや癌の患者が免疫力の低下により罹患する麻痺性の病気に効く。この病気はまた、脳の損傷や、失明の要因にもなる。WHOはDaraprimを「死活的に重要な薬」のリストに含めている。

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急激な値上げに医療団体から怒りの声が上がっている。米感染症団体やHIV治療協会はTuring Pharmaceuticals社に対し、公開の書簡を送り、「貧困層の患者には支払いが不可能な価格であり、保健制度全体にとっても問題がある」として、値上げを見直すよう求めた。

非営利団体からも非難の声が上がっている。「値上げが起こった場合、トキソプラズマ症治療のためにDaraprimを1年間使い続けたとすると、それだけで、体重60kg以下の患者なら33万6000ドル、60kg以上なら63万4500ドルかかる」という。

トキソプラズマ症患者は米国だけで6000万人と見られている。膨大な出費を一部カバーしてくれるような保険に入っていない人も相当数いる。

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Turing Pharmaceuticals社のマルティン・シュクレリ代表によれば、値上げはトキソプラズマ症に関する研究を行い、また、トキソプラズマ症に関する新たな教育プログラムを行なうための措置である。

「強欲製薬会社が値上げした、などと思わないでほしい。事業を維持するための措置なのだ」と同氏。同氏によれば、この薬が使われることは稀であり、価格引き上げは保健制度に強い影響を与えるものではないということだが、医療団体の意見はこれと異なっている。

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