英国人ジャーナリストのニール・クラーク氏はこうした見解を自身の記事で表した。ニール・クラーク氏は英ガーディアン紙、デイリーメール紙、デイリーテレグラフ紙等、多くの通信社に記事を書いている。
以下、その内容をご紹介しよう。
西側マスコミがこれだけ目にも止まらぬ速さで報道を行なえた秘密は、2つの方法で解釈が可能だ。まず、シリア内でも反ロシア的なロビーが、空爆後すぐに犠牲者の数を正確に確認できる情報筋を持っていたのかもしれないということ。またいくつかのケースではマスコミは超能力者に頼み、爆撃開始前の段階ですでに犠牲者の数を特定してもらっていたのかもしれない。それともシリア内には戦闘ゾーンのどこかに超高速Wi-Fiを装備した人間が潜伏していて、ロシア軍機の攻撃の様子を恐ろしい速さでインターネットにアップできたのかもしれない。
西側のマスコミ報道が我々に語ることは、ロシアがシリアに空爆した目的は、ISの軍事施設を破壊するためでなく、この地域における自国の「自己中心的な国益」を追求するためだったというものだ。もちろん、西側諸国がシリア情勢を不安定化し、シリア軍の破壊とシリア政府の転覆を画策して武装戦闘員を支持した行動については、「自己中心的」とは誰も呼ばない。これは、慈悲とヒューマニズムの行為とされる。米国とその連合国がシリアを爆撃すれば、これは賞賛の対象となり、これをロシアがやると「獰猛なクマ」がこの地域における自分の影響力を強化しようとしていることになってしまう。ロシアにこの地域での連合国が現われたという事実自体が戦慄を呼んでいる。なぜなら石油の豊かなこの地域で連合国を持つことが許されているのは米国だけだからだ。
情報戦のターゲットは、我々が過去1年間で自分たちの指導者がISの脅威に対してどういう発言をしたかを、その記憶を葬り去ることに絞られている。
情報戦を行う者らは、私とあなた方の記憶が、つい数日間の出来事を覚えているしかもたないはず、と考えていることは間違いない。このことからシリアのテロリストと戦うロシアを憎むよう私たちに強いる試みは、単に笑わせるものだけでなく、我々の知的能力に対する重大な侮辱なのだ。