また岸田外相は12日、イランのザリフ外相と会談した。イランの核合意後、日本とイランの外相が会談するのは今回が初めてだった。岸田外相は12日に行われた共同記者会見で、伝統的な地域大国であるイランが中東情勢で果たせる役割は大きいとの考えを表した。
一方で、日本が何よりも関心を持っているのは経済面における協力だ。日本の大手企業20社の関係者が岸田外相に同行したのも理由がある。訪問目的は、両国の投資に関する協定締結について早急に合意することだった。政府間協定は、日本企業にはイランの企業と同じ権利、そしてイランには、イラン経済への日本の投資を保障する。そのほかにも同協定は、第三者ならびに第三国への日本の技術とテクノロジーの譲渡も禁止するものとなる見込み。
少なくとも、対イラン経済制裁が発動されていた5年間、日本はイランと緊密な協力を行っていなかった。しかし今、日本はイランでニッチ市場を得ようとしている。8月初旬、経済産業省の山際大志郎副大臣が率いる日本代表団がイランを訪問した。日本代表団には、日本の大手企業、三井物産、新日鉄、双日、伊藤忠商事などの責任者たちが含まれていた。
一方で、イラン市場における日本のライバルは、フランス、ドイツ、米国、中国、ロシアなど、たくさんいる。ロシア科学アカデミー世界経済国際関係研究所・世界経済予測課のギヴィ・マチャヴァリアニ責任者は、核合意調印後のイランと国際仲介役「6者」の間の新たな状況は、イランに貴重な可能性を開いたと指摘し、次のように語っている-
「イラン市場ではもちろん競争が起こるだろう。しかし、欧州も他の国も、全ての国が自分の場所を見つけるだろう。なぜなら制裁が導入される前のレベルに達するためだけでも、イランには莫大な投資と時間が必要だからだ。そのため、仕事は全ての国に行き渡るだけ十分にあり、全ては個別の分野や労働条件などに左右されるだろう。現実は、イランは日本だけでなく、フランス、ドイツ、米国、中国、ロシアなども念頭に置いているということだ。イランは外国企業の投資、技術や経験を強く必要としている。イランが世界の大国と7月14日にウィーンで果たした核合意を維持し続ければ、イランはあらゆるチャンスを持つことになる」。
7月14日にウィーンでイランと国際仲介役「6者」(米国、英国、フランス、ロシア、中国、ドイツ)が調印した合意は、対イラン制裁の解除と引き換えに、イランの核プログラムを長期的に制限することを規定している。これは不穏な中東情勢を背景に、国際的ビジネスの長期的な利益という観点から、イランに貴重な状況をつくりだしている。