赤嶺議員「安倍首相は、単に安全保障法制と言わず、平和安全法制という風に、わざわざ「平和」の名前をつけていました。しかし私たちは、この法律は日本をアメリカの無法な戦争に参加させるという点で「戦争法」と呼び、国会でも廃案を目指して闘ってきました。一番問題なのは数の力で憲法解釈を変え、集団的自衛権の行使を容認したことです。その無法ぶり、立憲主義を投げ捨てるやり方に、憲法学者はじめ多数の人が強い怒りをもって抗議闘争に立ち上がりました。
この法律に関連して一番注目し、指摘してきたのは、今年4月に日米の間で締結された新ガイドライン、軍事協力の日米の指針ですね。これを具体化するのが戦争法であるということです。従来のガイドラインでは、日本の周辺、近海で安全保障上の問題が起きたら日米共同で対処するという仕組みになっていましたが、今回のガイドラインでは世界中どこにでも地域の限定なく、平時から有事まで、日本がアメリカの地球規模の戦争に協力するということになっています。この新ガイドラインは日米安全保障条約の範囲をもはるかに超える中身なのです。
沖縄の米軍基地はこれまで米軍が専用的に使ってきました。しかし、日米での基地の共同使用の増加が既に表面化しています。アメリカの特殊部隊と日本の自衛隊がヘリを使って特殊降下訓練をおこない、それがもとで事故も起きています。沖縄の小さな島々が、米軍の射爆撃場になってしまっています。これを日本の自衛隊も共同で使っていくことになるわけです。あるいは沖縄の米軍基地司令部の中に日本の陸上自衛隊の司令部も置く、という具合に、ただでさえ米軍の激しい演習に苦しめられている沖縄県民の生活が、共同訓練することによっていっそう激しく、負担が重くなっていくのです。沖縄は基地の島としての様相を強めていきます。
尖閣列島をめぐる問題でも、沖縄は中国に近いということで、軍事的な抑止力を強化すると政府は言っていますが、実際にこれまで尖閣諸島で中国と沖縄の漁民が対立してきた歴史はありません。もちろん、中国の大国主義的なやり方については私も反対していますが、日中関係は、軍事的な対決を強めていっても改善できません。むしろ、沖縄近海で中国と日本の軍事衝突が偶発的に起きた場合、犠牲になるのは沖縄県民です。沖縄は第二次世界大戦で20万人以上を失った歴史をもつ島です。軍事抑止力を強化して平和を守る、というのは沖縄県民の平和の願いに逆行することだと思います。」