世界経済が芳しくない傾向にある中で、中国は、自国には「中高速の成長」を保つ力があるとアピールしている。また習国家主席は、中国のマクロ経済政策が、国内の安定した発展を維持するだけでなく、グローバルな発展に対する中国の大きな貢献を保つことも目標としていることに重点を置いている。国家主席はG20サミットで、中国は最も困難な時期に、世界経済の成長を促進する大きな責任を担ったとも指摘した。2009年から2011年にかけて、世界の経済成長に対する中国の貢献は50パーセントを超えた。現在、中国経済は減速しているが、それでも世界経済に対する中国の貢献は今も30パーセント以上を維持している。
一方で、外国のエコノミストたちは、不安がみられると分析している。特に、投資の弱さや、まだ低い内需が指摘されている。中国経済では、まだ革新的なコンポーネントが不足しており、大手国有企業の改革もゆっくりで、それらの企業を市場経済の経済主体に様変わりさせるという政府の計画は、まだ最初の段階にある。好ましくない要因によって、リソースの不足や利用効率の低さ、労働コストの上昇なども続いている。労働コストの上昇は、世界市場における中国の重要なメリットを奪う。
また今夏の証券市場の不安定な動きも、新たな不安のシグナルとなった。中国政府は市場の秩序を回復するために、緊急措置を講じることを余儀なくされた。また政府は、銀行・金融部門に対する汚職調査の拡大も担った。汚職との戦いをおざなりにしてはならない。なお役人や経営責任者たちへの圧力は、多くの大規模投資プロジェクトに関する決定を遅らせる。中国では、誠実な役人でさえも、取引の承認を恐れている。汚職者の逮捕は、国家機構や企業の活動をより透明にするはずだが、抜本的な経済改革にとって代わることはできない。
このような状況の中で、過剰な住宅や、壮大ではあっても必要のないインフラ施設の建設などによって計画が超過する方向に向かうのを防ぐためには、中央政府の断固とした姿勢が特に重要となる。中国のより市場的で革新的な経済への転換が早まるだけで、投資バブルのリスクが低くなる。一貫した改革のみが、中国経済の新たな正常な状態を保つことができる。