最近インドは、総額18億ドルに達する潜水艦6隻の入札に日本を招いた。又「新明和工業」が開発した水陸両用パトロール艇US-2売却に関する交渉も行われている。日本の自衛隊は、このUS-2を救難艇として使用している。インドのマスコミ報道によれば、インドは海軍用に、総額17億ドルでこのUS-2を12機を購入する用意があるとの事だ。近く予定されている安倍首相のインド訪問中に、この件に関し、しかるべき合意が達成される可能性もある。
昨年2014年、ほぼ半世紀にわたり効力を持ってきた武器・兵器の輸出禁止措置が解除された後、日本は、まずアジア太平洋地域を筆頭とした国際武器市場で、積極的なプレーヤーになろうと試みている。インド以外にも、フィリピンとの間で、日本の武器供与に関する交渉が行われている。特にフィリピン国防省は、南シナ海でのパトロール用に対潜哨戒機P-3C Orion(オライオン)の入手に関心を抱いている。また日本にとってベトナムやインドネシアも、潜在的な輸出先と言えるだろう。
しかし日本にとって最も大きな契約となる可能性があるのは、オーストラリアへの「そうりゅう」型非原子力潜水艦技術の供与だ。専門家の評価によれば、オーストラリア海軍所属の老朽化したCollins型潜水艦を新しい日本の「そうりゅう」型に代える契約の総額は、およそ400億ドルだ。先日、日本の安全保障会議は、オーストラリア側に、潜水艦の共同開発・製造プログラムへの最終的な参加プランを示した。日本の中谷防衛相によれば「入札の中では、最もよい条件だ」との事だ。2016年末までに、オーストラリアは、自国海軍用の最新鋭潜水艦をどのように製造するか、その方法を選択しなければならない。入札競争には、日本以外に、ドイツとフランスも名乗りを上げている。
「すでに国際武器市場には、日本と言う強力なライバルが出現したと言ってよいでしょう。市場となるのは、インドやアジア太平洋地域の他の国々だけではありません、顧客は、中東やラテンアメリカ諸国にも広がっています。歴史は、どのような市場も、たとえそれが分けられていても、遅かれ早かれ再分割されることを示しています。そのために必要なのは、まず第一に製品の高い競争力ですが、日本は、他の国々との競争に加わってゆけるでしょう。日本の装甲車両、銃などの小型武器、海軍用技術、通信手段、無線電信技術などは、すべて世界の最高水準にあります。日本が、他の武器輸出国に、価格の点で譲るというのは、又別のことです。なぜなら武器を生産している日本企業は、これまで、国内市場のみに目を向けてきたため、その結果、生産される武器の原価がかなり高かったからです。大量生産されれば、原価は下がり、競争力もしかるべく上がり、当然ながら、メーカーも利益を得るでしょう。これが、日本の武器輸出の経済的ファクターです。同時に、武器及び軍事技術貿易は、政治と密接に結びついています。日本は、米国との同盟ばかりでなく、自分達と同じように中国との間に領土問題を抱えている他の国々との潜在的同盟関係を強化したいと望んでいます。」
日本政府は、自国の軍事技術メーカーを支援し、彼らに特恵的条件で助成金あるいは融資を与え、買い手のほうにもクレジット支援をしている。しかし武器輸出は、ますます難しくなってきている。アジア太平洋地域の多くの国々が、自分達の軍産複合体創設に向け努力しているため、これまで武器の輸入国であった国々が、少なくともいくつかの品目で、武器製造大国と市場で競争する用意が、すでにできているからだ。とはいえ、今やっと自国の軍事産業を作り始めている国々にとっては、技術は必要だ。それゆえ、大多数の場合、技術の伝達が契約において必要不可欠な条件になるのだ