宣伝文には次のようにある。
「バイカル湖の南、イルクーツク近郊を流れるアンガラ川にある発電所の大建設現場。自由奔放な協同組合の人気者、ワーリャと彼女を取り巻く男達。恋愛、友情、そして働く人間たちの葛藤を描いた青春群像劇」
露日関係の現状がどうであれ、日本の劇団はこれまでも今も変わることなくロシアの古典を上演している。驚くべきことはほかにもある。日本の劇団がこの今、21世紀においても、ソビエトの劇作家の作品に注意を払い続けている、ということである。「劇団俳小」は独自のバージョンで、何を観客に訴えようとしているのか?女優の荒井晃恵さんがスプートニクのインタビューに答えてくれた。
「演出の河田園子が、『若手がエネルギッシュにできる芝居を』と探していたときに、『イルクーツク物語』に出会ったんです。うちの劇団は若手が多いので、私も、やはり若者が輝き、今を一生懸命生きている芝居がやりたいと思っていました。50年前の作品なのに、今の時代にも通ずるものがある、とお客様からも好評を頂いています」
© 写真日本の若者、イルクーツク物語に愛を学ぶ
日本の若者、イルクーツク物語に愛を学ぶ
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10日は上演後、観客参加型のディスカッションが行なわれた。このイベントに参加するべく、日本には劇作家の息子、父の芸術を研究する文学研究家のキリル・アルブーゾフ氏が招かれた。また、著名な学者で翻訳家、劇評家の中本信幸氏も招かれている。同氏は2007年11月にはクレムリンで文化的遺産の研究と保存、民族、国民間の文化交流への功績が讃えられ、プーシキンメダルが授与されている。荒井さんによれば、アルブーゾフ父子はそろって親日家で、今回キリル・アルブーゾフ氏はぜひ日本での上演を観たいと言い、その正直な感想を出演者や観客とも共有するべくディスカッションが催された。
「劇団俳小」版「イルクーツク物語」はグリーンシアターで13日まで上演される。
© 写真 : Tatyana Naumova日本の若者、イルクーツク物語に愛を学ぶ
日本の若者、イルクーツク物語に愛を学ぶ
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