極東は、軍事的にも政治的にも、また経済的側面からも、戦略的に重要な地域だ。そこには、争う余地のないいくつもの長所がある。まずダイナミックに発展しつつあるアジア太平洋諸国の市場に近いし、石油やガス、鉄鋼、非鉄金属、レアメタルを含めた巨大な鉱物資源、それに水力資源、森林資源などが眠っている。気候的にも多様で、様々な産業や農業振興に向け、あらゆる課題の解決が可能だ。このように豊かな資源に恵まれた極東において唯一不足しているもの、それは恐らく労働力だろう。極東は、面積で言えばロシア全土の36%を占めるが、その人口は5%にも満たない。
「まず開発にプラスになるような人達が入ってこれるように状況を転換する必要がある。極東地域には現在すでに、先行発展地域が9つあり、大規模投資プロジェクト6つが展開されている。そしてウラジオストク自由港もある。これらとその他のグローバル・プロジェクトは、10万人の新たな雇用を創出するだろう。しかし、これは将来的なもので、今後数年間にまず求められているのは、コンクリート工やレンガ積み工、建築技師といった生産部門での熟練労働者だ。
私達、人的資本発展機関のデータによれば、極東の求人数は、希望者数のほぼ2倍を超えている。問題は、数にのみあるのではない。最も求められているのは、プロの働き手であり、特別な技能を持つエンジニアである。しかし、応募してくる人達が希望する職種は、非熟練労働であったり管理職、人道領域の仕事である。私達の課題は、熟練した労働力をロシアの他の地域から極東に引き付けるような数々の条件を創り出し保障する事だ。」
次にスプートニク日本記者は、国際地域発展センターのイーゴリ・メラメド所長に、意見を聞いた。所長は「朝鮮民主主義人民共和国も含めた外国人労働力を引き入れる事が可能だ」と考えている-
熟練労働者らが極東に移り住むための動機となるものとして、まず挙げるべきは、専門家のための高い給与、再訓練のチャンス、土地1ヘクタールの供与、特恵的条件での住居獲得の可能性などだ。これについて、人的資本発展機関のパーヴェル・イグナチエフ第一副事務局長は、それぞれの人達への個人的アプローチが必要だと考えている-
「何千人もの人達が同じに移り住むようなことはない。移住するのは、具体的な個人であり家族だ。それぞれには、自分達の事情がある。私達の課題は、ロシアの労働力余剰地域15のどこかに住む具体的な個人が、自分の家で座って移住の問題を決定できるように、奥さんや子供達や両親と家族皆でそれを話し合えるようにする事、極東で新しい生活を始める事について相談できるようにする事だ。極東はまさに可能性の大地である。ロシア連邦のどこにも、ここほど大規模な国家プロジェクトが多くある場所は他にはない。」
もうあと数日後には、ロシアの地図に新しい町ツィオルコフスキイの名が現れるはずだ。この町は、アムール州のウグレゴルスク村をもとに作られている。ここは宇宙船発射基地「ヴォストーチヌィ」の活動を保障し支える主なセンターとして機能する事になる。新しい町の名は、宇宙航空学の父と言われるコンスタンチン・ツィオルコフスキイにちなんで名づけられた.。2016年の新年を迎えるまでに、最初のアパートへの新しい住民の入居が始まるはずだ。