「この局の開設は極東への投資呼び込みを促し、極東の企業のアジア太平洋地域への輸出に弾みをつけ、推し進めるもの。」
政府はさらにもうひとつ、人材発展局を開設する構え。この局の課題は極東に高いスキルを有する専門家をはじめとする労働リソースを保障することにある。これ以外にもロシア経済発展省をベースとしてアジア投資のための「オンブズマン」制度が誕生する。これは投資家らの極東でのプロジェクトの迅速な実現化を促すものとなる。
「資源の活用が十分になされていないということです。ガスでもパイプラインで引けば十分に安くできると思いますし、将来はもちろん電力もね。欧州では海底を通じていろんなところに貿易がありますから、そういうことも可能じゃないかと思いますが、なにもやっていないですよね。私はそこが一番大きな可能性があると思います。
もちろん、そういう関係がどんどん始まれば、日本にはエネルギーがないですから、必然性がありますね。そういう関係が開始されれば、観光は必ず増えると思います。このウラジオストクの町を歩くだけで空気がきれいですし、なんか自然に近い感じがしますし、みんな来たいと思うと思いますよ。だから観光ポテンシャルは大変あると思います。
投資をするときはそこの環境が長期にわたってきちんと保全されて、安心して投資できるということが必要なので、そうするためにはどうしたらいいかということを私のような学者じゃなくて、ビジネスの人に直接、たくさん聞いてみることが必要だと思います。
それは安心して投資できるような透明性の高いシステムだとか、もしインフラを作って失敗したときは誰がその責任をとるのか明確になっていることが重要なのではないかと思いますが、これは数多くのビジネスの人に尋ね、その意見を取り入れて規制を変えたりすることが大切で、私は補助金を出す、税の割引をすることが肝心ではなくて、もっと安心して入ってこれるシステムを作るほうが大切だと思います。
サハリン2はLNGでしょ。パイプじゃないでしょ。パイプでやったらもっと値段が安くて済みますよね。そういうことはもし日本がやりたがらないのであれば、プレッシャーをかけるべきでしょうね。というのは、簡単には言えないですが、価格の安いガスが入ってくると、既存の日本のガス会社、電力会社は高いLNGにコミットしていますから、日本の新しいガス、電力企業が安いガスを輸入すると競争に負けちゃいますよね。
貿易の面で安定なガスの供給に関して中ロが仲良くなるなら、日本もこれに真似をして、協力の余地はいっぱいあると思いますよ。
たとえば観光でもアジアからものすごい数の訪問者が来ていますよね。こういうところでビザなしにするととたんに増えるんですよね。中国からもタイからもいっぱいくるようになりました。今回だってびっくりしたんですけど、ロシアに来るのにビザが要るんですよね。ですからこういう環境をおたがいに減らしていくと、それは大きな可能性があると思います。
そんなにロシアには詳しくないけど、一般的なことでいうと、プライベート・インダストリーになるべく自由に活動できるようにすべきで、国の干渉、コントロールをなるべく少なくすることが第1ですね。それが基本的にみんなに信頼されると思います。政府というのは非常に恣意的ですから、政治の意向で何かが変わるというのはまずい。マーケットで何かが変わるというのはこれは仕方がない。それが第1だと思います。
私は政治と経済は切り離したほうがいいと思っています。政治はいろんなことがありますから、たとえばまったくロシアと日本と関係のない国との関係も大切ですから、そういうことを考慮しなけれないけない場面もあるけれども、経済はそれと切り離して、長い目でみて、密接な関係を作ることができますから、政治のことは無視して経済をきちんとやっていけばいいと思います。それをきちんとやると政治的にも仲良くなっていくと思います。」
日本企業向けに先進発展区域(TOR)に関する法律はすでに日本語に訳されており、日本人ビジネスマンはより詳細を知ることが可能となっている。現段階で沿海地方には日本の投資で事業展開を行う企業は26社存在している。