特に福島第1原発事故を経験した後、この問題はさらにアクチュアルとなった。この他にも世界のエネルギー資源採掘市場が不安定なことから、グローバルな価格景気に左右されないエネルギー資源を持つ重要性は高まっている。
この中で中心的なポジションを占めているのが太陽光エネルギー。
こうしたプロジェクトは経済的に合目的性があるといえるだろうか? 太陽光エネルギーの専門家であるイノベーションセンター「スコルコヴォ」のベングリオン記念大学のエヴゲーニー・カッツ教授はこれについて次のような見解を寄せている。
現在、何か主たる問題となっているかというと、それは電気の変圧、変換、生産ではなく、電気エネルギーを備蓄し、保存することができないことだ。 今日、良質で安定し安価な蓄電器というものはない。太陽光エネルギーの経済性について語ろうとすれば、それは安価であることが非常に重要だ。今日、産業国の大多数が企業も工場も稼動している日中にエネルギー需要のピークを迎えている。だが我々は電気を深夜も必要とするし、太陽があまり照らない時も欠かすわけにはいかない。これがこうした種類のエネルギーを発展させる上で抑止となる技術上の問題だ。もし誰かが世界を変えて、エネルギー上での技術革命を起こそうとおもうのであれば、その人は電気の備蓄を作る問題を取り組まねばならない。
この計画での作業の2番目の方向性は太陽燃料(ソーラー・フューエル)の摂取だ。事実上、これは人工的な光合成の試み、つまり自然界が行うことを繰り返す試みだが、自然界はこれを見事な優美さでおこなっているのだ。」
もし日本が事実上、無限の太陽光エネルギーを摂取するというグローバルな課題を解くことが出来たならば、国際経済の将来の発展の基本的ベクトルが依拠することになる知的財産を手にし、日本は科学技術ドナーとなるユニークな可能性を得ることになる。