尖閣論争で日中は戦争すれすれ?

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中谷防衛大臣は、尖閣諸島(釣魚列島)付近の警備水域に中国の軍艦が侵犯した場合、日本は軍艦を派遣する可能性を示唆した。これはつまり、日本は尖閣が原因で中国と戦争を起こす構えだということなのだろうか? この問いについて、モスクワ国際関係大学のアンドレイ・イワノフ上級研究員の意見をご紹介したい。

「法律という見地からすれば、それが国際法であろうと、国内法であろうと、自国領土を守るために軍艦を用いるという日本の構えは全く持ってごく自然で法にかなったものに見える。いかなる国もそのように振舞うべきだからだ。例えばロシアは自国の国境警備員らに対し、ロシアの水域で密漁などを行う外国船が服従しない場合、これに対して発砲を行うことを許可している。ロシアの海上の境界線を他国の軍艦が侵犯した場合、これを拿捕し、ロシアの水域から追い出すためにロシア艦隊の軍艦が派遣されることは疑いようもない。

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こうした状況は瞬時にして軍事衝突へと拡大しかねないことは明白だ。すべては双方がいかに抑制を働かせるかにかかっている。尖閣に関しては日本は今まで、日本の水域に中国の軍艦が侵入し、領空を中国のパトロール機が侵犯したときでさえも、こうした自制心を発揮してきた。

ところで中国で尖閣をめぐる抗議行動が激化したのは、2012年、日本が諸島を地権者である日本人民間人から買い取った後のことだ。これを中国は扇動と受け止めた。尖閣を巡る論争が深刻化し、日中関係は最高レベルのコンタクトが一時停止されるなど、悪化の一途をたどった。こうした状況が互いに最大の貿易経済パートナーである日本にも中国にも気に入らないのは明白だ。

2015年、日中の首脳が多数の国のあつまる国際的なフィールドで顔を合わせた時に、両国の関係改善にある種の兆候が認められた。

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まさにこのために、中谷防衛大臣のこの声明はそれが全くもって正しく、合法的なものでありながらも、いくつかの誤解を呼んでいる。もし中国が日本との関係正常化に関心を持っているのであれば、こうした関係に水をさすような行動を尖閣付近で起こすことなど計画しないはずだ。だが見方をかえれば、ここのところ中国は自国の利益の保護を断固として行うところを見せ付けようとしている。たとえば南シナ海の係争諸島付近に軍事施設を建設していることもその一例だ。中国は、他国が中国のことを意志が弱く、断固とした姿勢を示すことができないのだろうと疑っているのではないかと恐れているようなのだ。このため、中谷防衛大臣の声明は望むところと反対の効果を与えかねないものとなる。中谷防衛相が欲していたのは尖閣防衛に軍艦を派遣する断固とした決意を表すことで、中国にこの諸島付近で軽率な行為をとらぬよう抑制することだった。中国が、日本の大臣の計画になど驚いていないところを見せ付けるためだけに、再び尖閣付近で軍事的な筋肉を見せびらかすことなど望んでもいないだろう。中国がこれを行わないための思慮を持ち合わせていようとも、脅威ともとれる中谷防衛大臣の声明はようやく改善の兆しを見せ始めた日中関係の雰囲気を台無しにしてしまいかねない。

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領土問題のように二国関係のこんなに複雑な問題はプロフェッショナルに解決せねばならない。つまり外交官らがこれに取り組むべきなのだ。たとえば軍部やジャーナリストなど、外部の人間がこのプロセスに介入すれば、これは妥協の模索を複雑化させるだけのことだ。平常心や平和は軍部やジャーナリストには所詮必要としていないのだと見過ごすこともできるだろう。軍人やマスコミ関係者はセンセーションも戦争もなくなれば、失業するのではないかと危惧していることも例外ではない。だが、軍部もマスコミも人類全体の大部分をなしているわけでなく、人類社会の運命を決める権利を持っているわけでは全くないのだ。」

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