イラン、可能性の「窓」でなく「門」を開く

© 写真 : Thomas Jaehnelイラン
イラン - Sputnik 日本
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イランに対する国際的な制裁が解除され、イラン産原油の購入が解禁され、イランとの取引や、貨物輸送、保険システムへの制限が解かれた。各国は競って イランでの地歩を固めようとしている。様々な部門で足場を固め、または具体的なプロジェクトを起こそうという動きが見られる。

イランは石油埋蔵量で世界4位、一部のデータでは天然ガス埋蔵量で世界第1位である。しかも、「アラブの春」その他の政治的変動を経験した中東地域にあって数少ない安定した国である。こうしたことが、イランの、議論の余地なき強みである。

イラン 欧州向け原油を値引き - Sputnik 日本
イラン 欧州向け原油を値引き
英国のオンライン誌  OILPRICE.comによれば、イランは世界経済への再統合を強く望んでいる。ただし、欧米よりは、ロシアとの同盟に傾いている。ロシア政府はイラン政府に70億ドルの借款を送ることを検討中。また、ロシアは、イランに対し、現代的な地対空ミサイルシステムをも供給する。もし契約が実現したなら、ロシアとイランは強力な経済的・政治的同盟となる可能性がある。そして、米国は、イランの利益圏から排除される。米国が事態を自己に有利なほうへ変えることができる見込みは低い、とOILPRICE.com。

イランへの地対空ミサイル兵器S-300の供給に関する契約は、既に実現の段階である。取引はほかにもあり、今後も生まれてくる見込み。というのも、欧州がイランに兵器を送ることは、おそらくないからだ。欧州がイランに兵器を送るためには、米国の同意が必要だ。ほぼ、欧州のあらゆる兵器が、米国産の部品等を使っているためだ。
イランをめぐり、ロシアの最大のライバルとなるのは、中国である。

1980~1990年、中国は、戦車や戦闘機から高速艇や対艦ミサイルに至るまで様々な兵器をイランに供給していた一大取引相手だった。中国には今も、ありとあらゆるノウハウ、電子戦用システムなど、イランに様々なものを提案できる。このたび中国の習近平国家主席はイランを含む中東3カ国を歴訪したが、このことは、中東という市場において自らの占める場所を決して譲らないという中国の強い決意を示している。人民日報によれば、パン・セン駐イラン中国大使は、「中国はイラン産原油にとっての最大の輸出市場であるばかりでなく、6年間にわたり第一位のイランとの貿易パートナーである」と述べた。「中国とイランの間には多くの共通点がある。主権や国家の独立性を擁護する立場についても、国際および地域関係においてもだ。中国とイランは互いに互いを補っているのだ」と同大使。

イラン 制裁解除後 原油輸出を2倍に - Sputnik 日本
イラン 制裁解除後 原油輸出を2倍に
ロシアの中東専門家エレーナ・スポニナ氏は、イランは非常に注意深く経済パートナー候補を観察している、と語る。「ロシアはイランが制裁を脱するために多くの貢献をなした。しかしイランは感謝の念からロシアのみとの協力を行なうことなどしない。原子力の分野では一定の義務関係があるので、この方面ではロシアが第一の役割を担うだろうが、他の多くの問題については、いい契約を結ぶためにはロシアは大いに努力する必要がある。イランは非常にプラグマティックであり、最良のものを選抜する構えだ」とスポニナ氏。

日本の安倍首相もまた、昨年9月にニューヨークの国連本部で実現したイランのロウハニ大統領との会談で、イランへの経済的関心を鮮明にしている。「イランへの日本企業の進出を目指し、イランの経済成長に貢献したいと考えている」と安倍首相。一方のロウハニ大統領は、エネルギー、貨物輸送、交通、環境、文化、医療などの方面で具体的な支援を日本に求めた。

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