こうした決定が、中国の経済成長率が減速化し、それが世界の金融市場に否定的な影響を与えるのではないかとの懸念から、取られた事は明らかだ。日本と中国は「アジアの二大経済大国が、グローバルな経済成長安定化のために密接に協力している」とのシグナルを世界に示す事で、金融市場の緊張を和らげる助けにしたいと期待している。
中国は、世界最大の消費国であり、巨大な工場であるという役割を同時に演じている。多くの国々は、中国のGDPが安定して伸びている事を前提として、輸出入を含め、自国経済の発展を計画してきた。スプートニク日本記者は、ロシア最高経済学院のエキスパート、アレクセイ・マ-スロフ氏に、こうした状況をどう見るか話を聞いた。マースロフ氏は「中国経済の減速は、予測可能なものだった」と捉えている-
先日中国が発表した公式的な統計によれば、昨年2015年の中国のGDPの成長率は6,8%で、1990年以来最も低い数字となった。また昨年の中国の輸出は年率で1,8%、輸入は13,2%減少した。世界貿易と強く結びついているがゆえに、グローバル経済における大波乱を前に、中国は脆弱性を露呈したのだ。中国製品に対する需要が減り、それによって中国国内のビジネス活動は、不況にあえぐこととなった。また一方でこの事は、中国における原油やガスなどエネルギーに対する消費の落ち込みをもたらした。中国経済に対する不安は、嵐のように世界の取引所や金融市場を駆け抜けた。昨年2015年初めて、中国経済の落ち込み及び中国証券市場の下落、そして米国の取引所の下落の間のシンクロ(同時化)が始まった。そして2016年、今年の中国の状況には、サウジアラビアの取引所が反応を始めている。
こうした事が、効率的な調整メカニズム作りを日本と中国に促した。その助けによって日本は、余剰潜在力の削減や国営企業の再組織化における中国の努力に協力したいとしている。一方中国は、日本の追加投資に期待をかけている。
この件についてスプートニク日本記者は、再びロシア最高経済学院のエキスパート、マースロフ氏の意見を聞いて見た-
「中国は現在、自国の経済を早急に立て直しつつあります。日本や韓国のような、自国の技術で製品を作る国になろうとしています。少なくとも一時的には、成長のテンポは失われるでしょう。なぜなら、立て直しには時間が必要だからです。現在すべては、どのくらい中国の人々が、急速に経済を立て直す事ができるか、それを軌道に乗せられるかにかかっています。もしそれができれば、成長のテンポは、恐らく高くはならないでしょうが、安定すると思います。そうでなければ、中国経済は落ち込み、自分達に続いて世界市場全体を不況へと引きずり込むことでしょう。」