「世界対がんデー」は、国際対がん連合(UICC)によって実施されている。この日UICCは、この問題に人々の注目をひきつけるためにキャンペーンを展開している。またこの日は、がんの診断、治療、予防のための新たな方法について幅広い議論を行い、意見交換するきっかけにもなっている。
2016年の「世界対がんデー」のスローガンは、「これは我々の手に負える」。同スローガンは、医師と科学界が力を合わせることで、がんの発症率とがんによる影響を低下させることができることを指摘している。モスクワ市腫瘍病院62番のアナトーリー・マフソン院長は、次のように語っている-
「世界で最も多い死因は、心血管疾患で、2位が悪性疾患です。ロシアでは毎年およそ50万人が悪性腫瘍の診断を受けており、そのうち25万人以上が亡くなっています。ロシアだけでなく、世界中で悪性腫瘍が増え続けています。最近7年間だけでも悪性腫瘍の発症率は11パーセント増加しました。理由はいくつかあります。平均寿命が延びたこともその一つです。すなわち平均寿命が高い国ほど、がんの発症率も高いということですそのため世界では悪性腫瘍との闘いが重要な課題となっており、『対がんデー』が定められたのです」。
もちろん科学も医療も進歩を続けている。大阪大学は最近、息をしてがんを判定する高精度センサーの開発プロジェクトを発表した。同センサーは、がんの疑いがあるかを個人でもチェックすることを可能とする。学者たちはまた、どの内臓ががんに冒されているのかも判定できるようにする方針だという。
統計情報によると、日本では毎年およそ40万人が、がんによって死亡している。また日本とロシアの医師たちは、国民が自分の健康にあまり注意を払っていないとして懸念している。一方で「がん」という言葉は、がんと診断された人々をショックに陥れる。マフソン院長は、次のように語っている-
「最近まで胃がんの発症率で世界一だった日本は、次のようなことを行った。日本は、職員の定期検査を行わない雇用主にとって不利となる法を採択したのだ。そのため今日本の胃がんの59-61パーセントが初期段階で発見されており、手術は内視鏡で行われている。すなわち、治療の有効性は、進行度にかかっているということだ。一方で人々には未だに、がんになったということは、死を宣告されたということだ、という感覚がある。これは大きな誤解だ。最新データによると、私たちはがん患者の半数以上を完治させている。一方で、『がん』という言葉の下には、100以上の病気が隠れていることを理解する必要がある。それらの病気は、様々な形で浸透し、様々な方法で治療される。その中には、90パーセントの割合で完治する病気もある。今から40年前の私がまだ学生だった頃、子宮がんの女性の90パーセントが亡くなっていた。だが私たちは今、子宮がんの女性の98パーセントを完治させている。しかも、ただ完治させるだけでなく、女性たちはその後、健康な子供を出産している。皮膚がんや乳がんも同じだ。早期の段階の完治率は、90パーセント以上だ。がんは、死の宣告ではない。人々はこれを知る必要がある。それを伝え、説明する必要がある… そのためにも『対がんデー』が必要なのだ」。