ICAO総裁に宛てた書簡の中で北朝鮮は、独自の宇宙開発計画にもとづき地球観測衛星を打ち上げる、と主張した。北朝鮮は国際民間航空条約締約国として条約第44条を守り、発射の日時やロケットの一段目および二段目、さらにエンジンカバーの落下予想地点を示す、とされた。日時は2016年2月8~25日、朝7〜12時まで(平壌時間)となっている。
予想通り、北朝鮮の声明は周辺諸国から極めて否定的な反応を呼んだ。ロシア外務省は駐ロシア北朝鮮大使キム・ヒョンジュン氏に対し、北東アジアの緊張を高める措置を控え、朝鮮半島の核およびミサイル問題については政治・外交的解決という路線に回帰するよう呼びかけた。
日本は、北朝鮮の打ち上げは宇宙の平和利用でなく大陸間弾道ミサイル開発という軍事計画の推進である、と見ている。「領空通過の場合はミサイルを撃墜する」と日本政府。
北朝鮮に言わせれば、宇宙計画は純粋に平和的性格のものであり、人工衛星「光明星」は4年間軌道に滞在し、超高周波観測情報を伝えるという。しかし、ロシア経済大学政治・社会学部長のアレクサンドル・ペレンジエフ氏によれば、北朝鮮の宇宙計画はブラフである。
「現行の制裁の中で、それこそ『主体』的に宇宙計画を推進するために、国がどれほどの物質的、技術的、建築的、学術的基礎を持っていなければならないか、ほとんど想像に余りある。そのような基礎は北朝鮮にはない。北朝鮮は2012年、ロケット打ち上げに成功した、と発表した。これで、北朝鮮は打ち上げロケットを製造する技術を有している、と語る根拠が生まれた。しかし人工衛星については、長時間宇宙に滞在することは出来なかった。地球に落ちたり、軌道にはりぼて、模擬衛星が投入されたりした。
『水爆』実験直後に行なわれる今度の打ち上げも、おおかた、世界に北朝鮮の技術進歩を誇示する狙い、核兵器運搬能力があることを誇示する狙いがあるのだろう。北朝鮮のこうした行動は、周辺諸国を利するのみだ。日本の安倍首相は軍事改革、MD構築、地域における米海軍プレゼンス増大等々に格好の口実を得ることになる。また今回の打ち上げは、5月に予定されている第7回朝鮮労働党大会を前に、偉大なる達成を誇示し、国威を発揚する狙いもあるだろう。党大会は36年ぶりの開催である」。
北朝鮮の唯一の狙いは、対等な話し相手と認めてもらうことだ。そう語るのは極東研究所朝鮮研究室のアレクサンドル・ジェビン室長だ。
「北朝鮮は、自分を対等な話し相手と認めてもらえていない、イランのときと同じように、妥協や同意を模索することが願われていない、と見ている。だから北朝鮮は状況を打破し、米国とその同盟国がついに北朝鮮との対等な対話に同意してくれるよう、激しい行動に走るのだ。これが北朝鮮の原則的立場だ」