能登谷氏「新潟は政令指定都市でありながら農業生産額がとても多い、ユニークな市です。例えば2004年からは、ロシア極東へのチューリップの輸出が始まりました。ロシア極東では色々な国からの花が輸入され、利用されています。ロシアでは3月8日の国際婦人デーに、日本の母の日のように花を女性に贈る習慣があるので、それに合わせてチューリップを輸出するようになりました。当時は航空路がありましたので、それを使って間に合うように運びました。2008年には12万5千本のチューリップを売ることができました。」
新潟からの輸出という面では、新潟の産品は野菜も果物も大変人気があるが、ロシアで栽培をすることに関して協力体制が敷かれたのはごく最近だ。
能登谷氏「第一回目の日露間の農業対話、いわゆる政府間の正式な情報交換を行ったのは2013年の5月が初めてです。この年の初めに行われた首脳会談を受け、農業分野での交流を始めようということになりました。新潟は農業が盛んな土地ですし、ふさわしい人材がいます。特に沿海地方での農業協力をしていく意向をロシア側にも伝え、調査・検討を開始しました。沿海地方にはすでに多くの中国・韓国企業が進出して農業生産を行っていますが、日本の安心・安全でおいしい産品への期待は非常に大きいので、その期待にぜひ答えていきたいと考えています。
ロシアは広大な土地があるため種まき時に時間的な効率を優先し、密度に関係なく種をばらまくが、日本では等間隔をあけて栽培する。ロシアの学者らは、日本の栽培方法の、種を効率よく使うという点に注目している。まだ、どのようなやり方が最適なのか答えは出ておらず、将来的に判断していくことになる。日本の協力は栽培方法の比較だけではなく、農業機械や肥料にも及ぶと考えられる。日本の農業機械はサイズが小さいので、広い土地で栽培するロシアでは役に立たないかと思いきや、日本の農業機械の中古品はロシア極東で広く利用されており、中古品販売店もある。
能登谷氏は「将来的には、日本の技術・資材も活用した双方にメリットのある栽培方法で栽培された産品を、日本に輸入するという可能性も十分あるのではないか」と述べている。