米農業省の予測では今年ロシアの小麦輸出量は2350万トン。この数値は昨年比3%増。一方で米国の小麦輸出は2180万トンで45年で最低の数値になるものと見られている。
今年、世界の農産物市場は著しい変貌を遂げる。世界の大多数の通貨の対ドルレートが下がったために、米国産の小麦は輸入国にとってはあまりに高値となる一方で、逆にロシアの農産者はルーブル安のおかげで世界市場で新たなポジションを獲得するチャンスを得る。
ロシアはすでに2002年の時点で穀物を輸出する側に転じていた。このときを境にロシアは徐々に穀物輸出国としての立場を強化していった。 ロシア穀物連盟のアレクサンドル・コルブグ副会長はルーブル安は穀物市場へのロシアの進出を早める要因にすぎないとして、次のように語っている。
「これ(ルーブル安)は複数あるファクターのひとつに過ぎず、唯一のファクターではない。どんな市場に入る場合もロシアには容易いことではなかった。誰もロシアの参入を待ち受けてはおらず、特恵など与えてくれはしなかったからだ。だから参入できたのはひとえにロシアのビジネス界が専門的に作業を進め、持てる優位性を示し、我々の生産物のほうがいいことを証明できたからに過ぎない。こうして苦労して勝ち取った市場から誰かがロシアを締め出すこと出来るとは思わない。」
ロシア経済を牽引する生産物といえば、以前はエネルギー資源と兵器の輸出とされてきた。ところがコルブグ副会長によれば、既に現時点で状況は激しい勢いで変化している。すでに昨年で農産品の輸出による収益が兵器輸出の収益を上回った。この額は天然ガス輸出による収益のおよそ半分に相当する。
コルブグ副会長は多くの点でまさに穀物がロシアの輸出の新たな顔の決めてになっているとして、さらに次のように語っている。
「今日、我々が穀物を輸出する先は100カ国。アフリカ市場にも参入したが、実はこの市場は輸出業者にとっては非常に難しい場所だ。例えばナイジェリア。ここは昔からプレミア級の穀物を買い占めてきており、質に関しては非常に厳しい要求をつきつけてくる。そのナイジェリアからロシアの穀物生産者が締め出したのは圧倒的シェアを誇っていた米国産穀物だった。このほか南アにも穀物供給が行なわれている、ロシア産穀物はラテンアメリカでも知名度が高く、メキシコでもそうだが、これは文字通り米国の鼻先に位置する国だ。」
ロシアの農産複合体における成長傾向はますます勢いを増している。ポジティブな動きは園芸にも畜産にも現れている。専門家らは、今ある国内の穀物総生産量の成長が今後も維持されれば、今後10-15年たらずのうちに生産量は2倍に増え、2億トンレベルに達すると予想している。