ロシア人経営幹部ら、日本のカイゼン哲学を学ぶ

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日本の労働哲学「カイゼン」に経営者の注目が集まっている。12日および13日、セミナー「組織の壁を破るカイゼン〜クロスファンクショナルチームはこうやれば動く〜」がモスクワ日本センターで開催され、ロシア人経営幹部ら50名超が集まった。

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参加申し込みが殺到したため、告知後すぐに募集を締め切った。セミナーでは、経営コンサルティングを手がける株式会社ロゴ・代表取締役社長の津曲公二(つまがり・こうじ)氏および副社長の酒井昌昭(さかい・まさあき)氏が講演および実践研修を行った。

もともと日本のモノづくりの現場ではカイゼン活動が活発に行われていた。その中でも特筆すべきは、90年代に業績が大幅に低迷していた日産自動車の奇跡的な復活だ。これは日産のカルロス・ゴーンCEOが日産の社員とともに作った「日産リバイバルプラン」の結果である。日産で利益・原価管理を担当していた津曲氏は、従来のカイゼンとゴーン改革は何が違ったのか、リバイバルプランの成功に欠かせなかった「クロスファンクショナルチーム」はどのように動いたのかを語った。

ロゴ社は、クロスファンクショナルチームが円滑に働けるように、チームの課題と個々の役割を可視化する「サクセスマップ法」を開発。実践研修では、課題に基づいてチームで討議し、実際にサクセスマップを作成してみた。チームの最終成果物として「利益」を挙げる参加者が多かったことに対し、津曲氏は「利益が欲しいのは誰でもよくわかりますが、それは『あなた自身が何をすればいいのか』の答えにはなりません。カイゼン活動を抜きにして利益だけ求めるのは経営者の妄想で、絶対に実現しません。」と指摘した。

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カイゼンと言えば、無駄を省き、パフォーマンスが上がることばかりを期待してしまうが、それは望ましくない。講師によれば、カイゼンの本質は何よりも自主性にある。酒井氏は「経営陣が課題を指示して『やりなさい』と言うようでは、それはいつもの仕事と全く変わりませんし、カイゼンではありません。サクセスマップ法のような方法論は、自発的に活動するためのツールです。よく誤解されますが、カイゼンは、数値目標を立てて『これをやれ』ということでもありません。それではただの命令です。」と話した。

セミナーを終え、ボロネジ州から参加した、政府機関に勤めるワレンチーナ・ブーチナ氏は「ロシア人は利益を急ぐ傾向にあります。プロジェクトを始動させる前にそれについてよく考える時間が必要だと思います」と述べた。また、経済学博士で、ロジスティクス業を営むミハイル・サモスドフ氏は「現場でのやり方は理論と少し異なるものの、カイゼンのアプローチは既に我が社でも実践しており、自信を持ちました。クロスファンクショナルチームの概念は新しいものではありませんが、慣れているものを別の視点から見たり、他者の色々な経験を聞くことは興味深いです」と話した。

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