率先して注意が向けられるのは、生魚その他海産物で料理を作る技量。米や蕎麦、味噌汁、蒸し野菜や漬物系の多くの料理についてもテストがなされる。日本式の配膳、盛り付け、接客サービスが出来ているかどうかも評価軸だ。
等級分けは「金」「銀」「銅」の三段階。金賞を取るためには日本の料亭に2年間勤務しなければならない。銀および銅はずっと要求が低く、料理教室で教習を受ければいいことになっている。
モスクワのレストラン「ツヴェト・サクルィ(桜の花)」副代表、オリガ・ネチャーエワ氏の意見を聞いてみよう。
モスクワのレストラン「ツヴェト・サクルィ(桜の花)」副代表、オリガ・ネチャーエワ氏の意見を聞いてみよう。
「鮮魚料理、寿司や刺身に関しては、むろん高い職能を保証された専門家が魚や海産物の種類ばかりか鮮度を見分け、調理免許を持つべきだ。河豚については言うまでもない。当店ではプロの日本人料理人ヒロユキ・アラカワが働いている。日本人がシェフをやっている店は、より成功している。和食を出すあらゆる飲食店で、日本人シェフは少なくとも第一段階、つまり、生魚調理、寿司の握り方等の教習を受けているべきだと思う。
より高度な要求がつきつけられるのは高級日本食店だけで、その数はモスクワにはそう多くない。ついでに言えば、ロシアでは、最高級日本食レストランだけが料理に低温保存魚を使っている。漁船の上で直接低温処理され、氷で冷やされた箱で輸送されるのだ。保存期間は漁獲から3-4日。冷凍魚はより長持ちだが、価格は1.5-2倍安い。だからたいていのロシアのスシ・バーではそれが使われている。ふつうのロシアの消費者は違いがわからないが、日本人にとっては決定的な差だ」
資格制度と並んで今年、政府の支援のもと、外国人スシ・シェフの養成プログラムも行われる。希望者は日本を訪れ有利な条件で講習を受けることができる。これを受ければハイレベルな日本料理を作ることができるようになる。2013年にユネスコ世界無形文化遺産に登録された日本食の質的向上、普及が政府の狙いだ。農水省によれば、世界の日本食レストラン登録件数は5万5000から8万8000に増える見込みだという。