金融庁は、「ビットコインに代表される、いわゆる暗号通貨は、法律上、通常のお金と同等の取り扱いを受けることが相当である」とし、法制化を訴えている。「法的基盤が整備されれば仮想通貨の流通がより安全になり、マネーロンダリング等の違法行為が防止される。暗号通貨を扱う金融機関等は金融庁への登録を義務付けられ、金融庁の規制や管理を受けるべきだ」。こうした内容の法案が、今国会会期中にも審議される見込みだ。
仮想通貨の取り扱いは国によって様々だ。課税の対象となっている国もあれば、法人による利用を禁じている国、逆に個人による使用を禁じている国もある。米国では昨年、ビットコイン等の仮想通貨が正式に商品として登録され、仮想通貨の先物取引やオプション取引が当局の監督を受けることになり、不法な操作を行った者は起訴することもできるようになった。
ロシアではビットコインは非合法なものとされている。ビットコインはマネーロンダリングやテロ組織への資金供与に使われやすい、との判断からである。しかし、ビットコインの流通が禁止されたからといって、それについて議論することまでがタブーとなったわけではない。 4月8日、モスクワで、「ロシアビットコイン会議2016」が開かれる。ビットコインの中核をなす、ブロックチェーンと呼ばれる技術や、そのロシアおよび世界における適用の見通しが焦点となる。
ロシア企業「ヒューマンファクター研究所」社長でビットコイン推進派および投資家のドミートリイ・ジュラヴリョフ氏は、ビットコインを地下に追いやるより、それを管理下に置くことのほうが得策だ、と語る。
「ロシア議会は仮想通貨という新たな問題を、規制するのでなく、禁止することを選択した。しかし、ロシアで禁止されても、禁止されていない国では使用できるのだ。しかも、そのためにわざわざ移動する必要さえない。すべてはインターネット上のことであり、取引が行われる具体的な場所など存在しないのだ。私の意見では、仮想通貨は地下に追いやるより、管理下に置くことのほうが得策だ。地下に追いやることは、犯罪に走らせることと同じだ。間もなく開催される「ロシアビットコイン会議2016」では、仮想通貨の長所と短所が討議され、同時に、ロシアが世界と足並みをそろえ、ブロックチェーンが諸外国で使用されるようになる時代に備えるための方策が議論される」
現在、世界には、約600種類の仮想通貨がある。日本の金融庁によると、今年1月・2月におけるビットコインの時価総額は約62.4億ドル(7000億円)に上っている。