日韓の間で軍事情報に関する包括的保全協定調印の試みが、失敗に終わったのは何も今回が最初ではない。2012年には、韓国議会が、トクト(日本名;竹島)の領有権を強く主張し、さらに日本側が「従軍慰安婦」問題を含め、第二次世界大戦時の犯罪に対し十分悔い改めていないとして、協定の調印を支持しなかった。
韓国が、この協定に調印するのを現在妨げているものは、一体何だろうか? ラジオ・スプートニク記者は、ロシア科学アカデミー東洋学研究所コリア課のアレクサンドル・ヴォロンツォフ課長にマイクを向け、話を聞いた-
「ワシントンで行われた日米韓協議は、軍事・政治分野での協力深化を、この三つの国が目指している事を証拠立てるものだ。そうした協力は事実存在しているが、今のところまだ、完全な同盟というレベルにまで達していない。そのプロセスは進展しており、それを前進させる主な力になっているのは米国であり、現在ある日米、米韓二国間合意が、三か国のパートナーシップへと進化するよう多大な努力を絶えず傾けている。
昨年末、日韓両首脳は、文書に調印し、慰安婦問題克服し、二国間関係の議題からこの問題を除く事を宣言した。突破口が開けたのではないかと思われた。それゆえ今回の日米韓サミットには、目に見える成果が期待されていた。まして、北朝鮮をめぐる情勢の先鋭化が、諜報機関に関する協定の調印や意見の食い違いの克服を促すだろうと思われていたから、なおさらである。しかし、ある程度の進歩はあったものの、日韓の軍事-政治協力発展のカギを握る軍事情報に関する包括的保全協定の調印は、又もやうまくいかなかった。この事は、日韓関係が、今も容易でなく、両国間の矛盾が調整されていないままである事を物語っている。ここで忘れてはならないのは、従軍慰安婦に関する日韓合意に関し、韓国内で、ソウル当局は、合意調印の条件に関し今も生きておられる女性達の意見に関心を示していないと、大変激しい批判の声が上がった事だ。こうしたファクターは、余り取りざたされていないが、相変わらず、軍事-政治分野での日韓合意を深める上での障害となっている。」