ウクライナ大統領の日本訪問について、モスクワ国際関係大学のアンドレイ・イワノフ上級研究員の意見を、以下まとめて皆さんに御紹介する。
しかし西側の民主主義国と呼ばれる国々は、クリミア住民の声を聴こうとはせず、この半島をウクライナ領だとして、ロシアの「占領」をやはり非難した。そして対ロ制裁を導入した。それには「自分達は西側社会の東洋における完全なメンバーであり、民主主義国家である」と自負する日本も参加した。この事が、国防担当大臣レベルでの日露コンタクトや、その他一連の重要な方向に沿ったコンタクトを凍りつかせてしまった。
対ロシア制裁は、間もなく拡大された。それは、ウクライナが、ドンバス住民との合意を図らず、同胞である彼らに軍隊を差し向け、内戦を勃発させたあと起きた。しかし、キエフ当局は、武器を持って立ち上がったドンバスの炭鉱労働者達をうまく処理できず、ロシアが「分離主義者」を支援しているのだと非難を始めた。ドンバス支援に関して言えば、それは部分的には真実である。しかしウクライナは、ロシアはウクライナを直接侵略したとまで主張した。これは明らかにウソだが、西側は、日本も含め、このウソにのった。さらにその後、ロシアあるいは、ロシアに支援されているドンバスの「分離主義者達」はマレーシア航空機を撃墜したなどという途方もない非難もなされた。この犯罪が、ウクライナ軍によるものである事は、事実が示している。ロシアに対する制裁は、又も強化された。日本も、西側の主張を支持し、自らの国益を損なうにもかかわらず、それに追随した。
もし、ポロシェンコ大統領が主張する見解、ウクライナが現在経験している不幸は、すべてロシアのせいだという考えを受入れるとするならば、日本指導部は、自分達の国益に大きな損失を与える事になるだろう。ポロシェンコ大統領は、安倍首相に、ロシアへの圧力を強め、ロシアとの協力の程度をさらに下げるよう求めると予想される。
もちろん、日本政府は、ウクライナやロシアで起きている事に関する情報を、しばしば客観的とは言えない自国のマスメディアだけでなく、より確実な他の情報源からも得ているに違いない。それにもかかわらず日本の政治エリートの中にも、恐らく、悪意に満ちた侵略国家ロシアというポロシェンコ大統領のおとぎ話を信じる人達もいるだろう。肝心なのは、日本政府が、重要な政治的決定の数々を、おとぎ話ではなく、現実の上に立って下す事である。その現実とは、全くもって明らかだ。ポロシェンコ大統領は経済的にも政治的にもすでに破産している。なぜなら彼が、ウクライナ経済を最終的に破滅させ、同胞に対する戦争を始めたからだ。戦いは今も止んでいない。
一方ロシアはどうか、日本にとってロシアとの関係は、非常に重要であると思う。