安倍・プーチン会談は現実的になったが北方領土問題の解決については多難

© Sputnik / Ramil Sitdikovセルゲイ・ラヴロフ外相
セルゲイ・ラヴロフ外相 - Sputnik 日本
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東京で日本の岸田文雄外務大臣とロシアのセルゲイ・ラヴロフ外相が協議し、安倍晋三首相のロシア訪問の詳細が詰められたが、平和条約と領土問題の解決には近づいているとは考えにくい。著名なロシアの歴史家、東洋諸国研究所のアナトリー・コシキン教授が語った。

ラヴロフ外相 - Sputnik 日本
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「ラヴロフ外相訪日前には今訪問が北方領土問題解決への模索の試みのひとつであるという多くの投機的観測があった。モスクワ側は、主な目的はロシアへの安倍首相の非公式訪問への準備であるという立場だった。会談後の声明ではいわゆる領土問題はついでに言及されているに過ぎない。これは、両国の立場が相いれないままであることを示している。ロシアは島の譲渡に関する交渉があったという事実さえ拒否している。なお、それ以前のラヴロフ外相声明で、平和条約の問題は北方領土の問題と等価ではないと言われている。ロシアは平和条約問題解決に向け相互に受け入れ可能な条件を見つけるための交渉の継続に異議を持ってはいないが、日本へのクリル諸島の譲歩がその主要な条件であるとは考えていない、との立場だ。しかし日本国内では、交渉継続への圧力が高まっている」

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「私は日本の右翼勢力は安倍首相がその右的立場にもかかわらず領土問題で妥協する可能性を恐れ、それを回避しようとしている、という印象を持っている。大資本に裏打ちされたこれら勢力の影響力を考えると、自民党と現日本政府が強硬姿勢を崩す可能性は低いと思われる。また、日本の外交は、いわゆる北方領土問題を作りだしたアメリカの人質だ。この問題に関するロシアの立場は昨日テレビで放映されたホットラインの後で改めてプーチン大統領が表明している。いわく、ロシアは妥協点を見つけことを望んでいる。 2001年に彼が平和条約調印後、シコタンとハボマイの譲渡を決めた1956年の宣言の条項に回帰することを森首相と約束したことが知られている。しかし、ロシアにも日本にも1956年の条件に自動的に復帰する可能性を疑う人がいる。以来、状況は劇的に変わった。 1956年には単に島の問題だったが、今は各島の周りの豊かな経済圏が問題になっている。その陸棚からはガスとオイルが手に入る。そのことは以前には想像することも不可能だった。さらに、1950年代に比べてこの問題の軍事戦略的側面は飛躍的に増大した。今では島だけの問題でなく、オホーツク海と太平洋を結ぶ島と島の間の海峡が問題になっている。南クリルが相手側にわたると海峡が阻止されることも排除できない。それにこれら島嶼に米軍基地が設置されないという保証もどこにもない。私見では今、領土問題の解決を延期し、妥協点に到達するための条件を作成することに集中するには、非常に好都合なタイミングだ。これまでのところ、日本側にもロシア側にもいかなる妥協の兆候も見られない。しかし、仮に日本が1956年宣言の条項への復帰というロシアの提案に同意することを前提としても、交渉は依然として非常に困難だろう」

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