スプートニク日本のタチヤナ・フロニ記者は、ロシアの経済誌「エクスペルト」の分析専門家、セルゲイ・マヌコフ氏に意見を聞いた-
「元IMFの主任エコノミストで現在ワシントンのピーターソン国際経済研究所で働いているオリヴィエ・ブランチャード氏は、日本は今急速に、深刻な支払い能力危機に移行中だと見ている。またIMFや世界銀行といった金融組織やエコノミストの大部分も、日本経済に対するそうした否定的観測を口にしている。3年前、安倍首相は、日本を長く続く不況から脱却させると公約して政権の座に就いた。そして彼のアベノミクスといわれる経済改革が、実際、肯定的な効果を持っている事は、多くの人々に示された。日本の新たな奇跡とまで言われたものだ。しかし奇跡の期間は、大変短いものだった。今もますます多くのエコノミストが、外国人も日本人も含め、全体としてアベノミクスは、その破綻を示したと指摘するようになっている。
しかし、人工的に作られたこのブームは、長くは続かなかった。今の日本銀行の主な夢は、インフレ率を2%にまで上げる事だ。そうした目的を持って今年1月、日銀はマイナス金利を導入し、皆をひどく驚かせた。この決定は、日銀内部の分裂を呼び起こした。マイナス金利導入に際しての投票では、5対4と支持派はかろうじて勝利した。この政策は、商業銀行の収益性を疑わしいものとし、様々な国々の市場下落を招いた。日銀が主な目的とした円安の代わりに、円の対ドルレートは思いもかけず7%も上がってしまった。しかし日銀指導部は、マイナス金利は、インフレ率が期待する2%にまで上がるまで据え置くと主張している。その際日銀は、今後国債を買ってゆくと発表した。そのため80兆円という途方もない資金を費やす考えだ。つまり重大な措置を講じているという事だ。しかし、それによって必要な成果は得られない。
しかし安倍首相が、自分の政策を変更する事はないだろう。今年、経営陣と労働組合の間の交渉で、彼は、経営陣に対し、労働者の賃金を上げ、そうする事で国内に漂うデフレの雰囲気を壊すよう根気よく求めた。給与が上がれば、消費の伸びを助ける。そうなれば、日本が抱える巨額の債務を助けることになるというわけだ。ちなみに日本の債務は、およそ10兆5千億ドルで、対GDP比250%に近づいている。世界の先進国の中で、これだけ高い債務を抱えた国は他にない。