飯田グループは、税金上の優遇措置や特恵的条件を期待している。なぜならルースキイ島は、先進発展地域に指定されているからだ。この地域に投資した企業は、10年間、付加価値税や所得税などの税金の支払いを免除される。それ以外に、地域によって15~25%というロシアの開発プロジェクトの高い収益性も、日本企業にとっては大きな魅力だ。日本のそれは5%に満たないからだ。飯田グループは、ルースキイ島開発に投じた資金を5年から7年で回収する計画だ。
また極東発展省の予想によれば、ビザなし渡航が可能という条件で、ルースキイ島に新たなリゾートがオープンすれば、もう初めの数年間で、沿海地方には100万人ものツーリストが訪れるだろうという事だ。
ここで注意を促したい点は、ウラジオストクが「自由港」になったことだ。これにより、ウラジオストク空港には「オープンエア」体制の中、外国の航空会社の旅客機を受入れる事ができるようになり、到着した人達は8日間、沿海地方にビザなしで留まれる。
沿海地方の観光リクレーション領域への投資プロジェクトに関する合意は、昨年9月、ミクルシェフスキイ知事と「ファーストウッド・プリモーリエ」の角崎(つのざき)代表取締役により調印された。調印直後のインタビューで、角崎代表取締役は、おおよそ次のようにコメントしている-
「このプラン実現にむけた具体的アイデアは、今のところないが、我々は、自然に囲まれたルースキイ島は、旅行者が訪れるにふさわしい、これまでなかったほど素晴らしい場所になると思っている。ここに来る旅行者の数は、増えてゆくだろう。我が社と沿海地方との間の協力は、旅行者がここでの滞在を楽しむための条件を作るチャンスを与えるものだ。ここには、ゴルフをするための場所が、事実上ない。それは、旅行者にとって極めて魅力的なものになるに違いない。全体として我々は、これが、我が社ばかりでなく沿海地方にも利益をもたらす、将来性のあるプロジェクトになるよう期待している。」
飯田グループが、沿海地方での住宅建設開始の意向を初めて明らかにしたのは、2014年3月、東京で開かれた第6回ロ日投資フォーラムでのことだった。そして今年2月、ウラジオストクにおける飯田グループの100%子会社である「ファーストウッド・プリモーリエ」が、この地方最大の木材調達・伐採企業の一つ「プリモルスクレスプロム」の株主となった。
2012年9月にウラジオストクでアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議が開かれるまで、ルースキイ島には軍事基地が置かれていたが、現在そこには、極東連邦大学の建物がある。ここにリクレーション・ゾーンを建設する事は、当初から計画されていた。島の地形、気候そして自然は、一流のリゾート地となるにふさわしいものだからだ。