首都南西部のモスクワ大学本館前にも桜並木がある。また市の南東部、かつてエカテリーナ2世の離宮があった「ツァリーツィノ」歴史自然公園内のビリュレフスキイ植物園内にも、エゾ桜50本が植えられている。この桜は日本の篤志家が2010年秋に植樹したものだ。4月27日から30日まで、この植物園では「花見会」が催される。これには、桜を愛する人達ばかりでなく、日本の文化に親しみ浸りたいと望む人なら誰でも参加できる。折り紙を楽しんだり、扇子や提灯を作ったり、布に日本画を描いたりする教室も開かれる。また木製のブロックでのピラミッドを作りに挑戦する事もできる。きっと日本の伝統的な着物を着て、美しい桜をバックに写真を取りたいと望む人達もいるだろう。
さて北の都サンクトペテルブルグの桜だが、郊外にあるピョートル宮殿の植物園がまず有名だ。最初にここに桜がお目見えしたのは、もう30年も前の事で、その後2003年に、150本の苗木が植えられた。これはサンクトペテルブルグ創建300周年を祝って、日本から贈られたものだった。その際、北日本で育つ寒さに強い品種が特別に選ばれた。そして10年後、サンクトペテルブルグ市の中心部にあるスモーリヌィ宮殿の庭園に、知事自ら、桜の苗木を10本植えた。なおこの苗木は、日本の皇室がこの都の創建310周年を祝い、贈ったものだ。
「昨年は5月3日に咲き出し、満開の見頃は9日から10日でした。今年どうなるかは、お天気次第です。それぞれの品種が、代り番こに咲き始めるでしょう。ですから市民に開花が発表されてから、植物園を訪れて、あの有名な美しい花を愛でる期間は、約2週間あります。」
今年サンクトペテルブルグでは桜の開花期間中、初めての「桜祭り」が開かれる計画だ。日本の伝統文化や日本庭園を紹介するフェスティバルだ。ただ日本の「お花見」のように、桜の木の下でピクニックを楽しむというわけにはいかないだろう。植物園の専門家によれば、大部分の木がそうであるように、桜も、土壌が踏み荒らされることに、大変敏感だからだ。若木が強く根を張り早く成長するように、植物園の職員達は、訪れる人達に、桜の木に余り近づかず、遊歩道からのみ鑑賞し桜の美しさを楽しむよう求めている。職員達は、日本で余りにたくさんの観光客が花見に押し寄せ、桜が枯れる被害が、極めて深刻になった事から、そうした措置をとる事に決めたとの事だ。