政治アナリストらによれば、近年日本は常に戦略的な同盟国である米国と自身の国益の間でバランスをとることを余儀なくされている。ウクライナ問題で一部のコンタクトが停止したが、東京がこれまで培ったロシアとの関係における地歩を失いたくないと思っていることは明らかだ。そして、このために、両者は少なくとも話をする必要がある。元駐日大使アレクサンドル・パノフ氏はそう語る。
「このような協議は常に重要だ。パートナーが何を考えているか、どのような計画があるか、何をするつもりかを知ることは極めて重要だ。それなしでは情報空間が揣摩臆測で満たされてしまう。第一人者からは確実で具体的な情報を聞くことができる。そして、パートナーが地域および国際政治の重要な問題にどのように行動をとるかについて自分自身のイメージを作ることができる。」
5月6日のソチ首脳会談では安倍首相がプーチン大統領に対し国際問題についての意見交換と対話の活性化を提案した。また、日本が今非常任メンバーである安全保障理事会での両国の緊密な協力についても話されている。また、国境警備当局や対テロ当局のラインで、アジア太平洋地域の安全保障問題に関する協議も取りざたされている、とパノフ氏。
「日本は、もちろん、他の国と同様、テロの脅威を懸念している。もっとも、脅威からやや離れてはいるが。日本の領土に最も近い朝鮮半島情勢について日本が最も強く懸念しているということは明らかだ。ここでは多くの点で両国の立場は同一であり、モスクワと東京は緊張緩和への共同戦線を張ることができる。もっとも、私の意見では、朝鮮半島情勢は今日、明らかな行き詰まりを見せている。近い将来に6者協議が再開される期待はほとんどない。もう誰も交渉に興味を持っていない。米国は大統領選で忙しい。大統領選挙終了と新政権発足までは現在の米国政府から朝鮮半島問題でいかなる取り組みも期待されない。韓国は北朝鮮に対して非常に厳しい立場をとっている。中国もまた、特に活動を示していない。ロシアもそうだ。つまり、状況は行き詰っており、現時点では、危機から危機へ推移するのみ、または危機と小康状態といったところだ。しかし、繰り返すが、いずれにせよそうした協議は非常に重要だ。」
朝鮮半島情勢に加えて、双方はまた、世界政治の中で最も差し迫った問題の一つ、シリア紛争の解決についても話し合う。日本側にとっては、そこで何が起こっているかをロシアから知ることが重要だ。つまり、第一人者の情報を取得することが。この問題でロシアが非常に有能であることは明らかだ、とパノフ氏。