アファナーシエフ氏は40年を超える外交キャリアで中国、米国のロシア大使館で勤務し、ロシア外務省アジア課の課長を務め、韓国、タイで大使としての経験がある。駐日大使としては2012年2月から赴任を開始した。
スプートニク:4年以上の日本でのご勤務で日本に対する印象は変わりましたか?
スプートニク:今年10月にソ日外交関係回復およびソ日共同宣言調印の60周年が祝われますが、この文書は60年たって新たな歴史的現実の中で意義を失ってはいないでしょうか?
「これは非常に重要で我々の二国関係の土台となる文書です。これは最高レベルで構築されました。この調印のためにモスクワに当時の首相、鳩山一郎氏がやってこられました。政治家の鳩山由紀夫氏のおじい様です。この文書は単に調印されただけでなく、ソ連でも日本でも批准されました。ですから形式上は効力を持った文書なのです。
その主たる意味は戦後の時期を経て、日本との外交関係が回復したこと、二国が互いの国に大使を送り、大使館を開設したこと。第2にソ連は日本が国連の一員となることへの異議を取り下げました。第3にこの第9条にはソ連は平和条約締結後、日本国民の希望に答え、日本に二島を引き渡すと書かれています。
これは相互の合意に基づいたものでした。ところがその後、ある事件が起きてしまい、それから双方は条約にあるそれぞれの義務から離れてしまったのです。それでも文書は法的効力を失いませんでした。この調印60周年は10月19日に祝われることになっています。大きな会議がまず東京で行なわれ、その後モスクワで両国の研究者らが集まり、現在の情勢に照らし合わせて宣言の全ての側面が念に検討されることになっています。」
「対話は常に成果をもたらします。外交には黄金律があります。問題が深刻であればあるほど、それぞれの立場と論拠を説明するために話し合わねばならないのです。我々の間で今、最高レベルでの活発な対話が復活したということは非常に重要です。制裁体制により我々は大型対話のために2年を失ったと私は考えています。ですから我々の関係を復活させ、活発化させることが必要なのです。我々は隣国なのですから堅実で良好で善隣的な関係が必要です。他の道は単にありえないのです。」
スプートニク:日本にとっては中国は隣国であり、巨大な貿易経済パートナーですが、同時にライバルでもあります。その中国とロシアの関係はここ数年活発化していますが、この関係拡大を日本は注視しています。日本人はこれにどういった感情を抱いているのでしょうか?危機感でしょうか、それとも嫉妬心でしょうか?
「ロシアの対中関係の発展は独自の関心に基づいたものです。国境の問題を解決し、多くの国際問題で同一の立場を持っています。関係のレベルは全体的に上がりました。確かに日本ではこれにあまり善い反応をしめしていませんが、それでも我々が中国と仲良くするのは誰かに反対してということではなく、それが我々の国益に叶っているからです。これと全く同じように我々は日本との関係発展に関心を持っています。このために万全を尽くしましょう。日本は私たちにとってはとても重要な国なのです。」
スプートニク:善隣関係における文化交流にはどういった意味があるとおもわれますか?
スプートニク:露日間のビザ体制を撤廃するよう働きかける必要があるのではないでしょうか?
「我々はそれをかなり前から日本側に提案しているのです。韓国との間ではすでに2-3年ビザなし体制が続いています。タイも私の大使赴任時代にビザ撤廃合意が調印されました。この調印後、タイにおけるロシア人観光客の数は5倍にも膨れ上がりました。正直いってここまでの効果は私自身も期待していなかったほどです。ですがこれは皆さんにはとても重要なことなのですね。ただチケットを買って行けるのですから。現在、私どもは日本側とこれについての交渉を行なっています。」
スプートニク:日本で一番感動されたことはなんでしょう?
「折り目の正しさ、正確さ、何も言われずとも規則に遵守することです。私はすっかり和食党になりました。寿司、刺身もほとんど何でも好きです。私は根っからのアジア人なのです。大学入学まではずっとチタに暮らしていました。あそこはロシアであって、同時にアジアという場所ですからね。」